海外の「フェルミ推定」問題をまとめてみた(ケース対策)
企業の選考において、少ない情報からざっくり推定して経営戦略やら市場規模やらを論じる、いわゆる「フェルミ推定」によく出会うし、情報によれば今後も出会い続けることはほぼ確実であるようだ。
地頭力を鍛える 問題解決に活かす「フェルミ推定」によれば、その理由は以下の通り。
フェルミ推定が面接試験等の場で用いられてきた理由は大きく三つある。
- 第一に質問の内容が明快かつ身近なものであるためだ。
- 第二は「正解がない」*1ことで、回答者には純粋に考える「プロセス」が問われるためである。(中略)
- 最後の理由が、「簡潔でありながら問題解決の縮図である」ことである。
(地頭力を鍛える 問題解決に活かす「フェルミ推定」、p.46より一部改変)
ちょっち前に「自分の頭で考えろ」系の話題が盛り上がったことがある。
頭よくなりたいです。そこでフェルミですよ!(いちおう書いておくと、上記の「身近な問題」を求めるなら日常の中で問題を作って自分で解いてみるのがよさそうです。問題を考えるプロセスもまた勉強になる)
さてさて、最近ケース問題を練習し始めたのだけど、ミーハーなので英語の(本場の?) Fermi Problems/Questions に興味を持った。そこで、せっせとググって海外のフェルミ推定問題などをまとめてみました。一言コメントと共に、ここに晒します。結構大学のページにおいてあったりするね。日本がんばれ。「フェルミ推定」でググるとブログしか出てこないとは情けない!*2
列挙していくよ
- Fermi problem - Wikipedia, the free encyclopedia
- なんだかんだで、簡潔にまとまった情報はWikipediaが一番だったりする。恐るべしフリー百科事典
- Fermi Questions Library - Collection of Fermi Questions
- 一番上のClassic Fermi Questions with Annotated Solutionsが回答例で、General Collectionに問題が18問。
- Fermi Questions - Classic Fermi Questions and Annotated Solutions
- 解答例が2個と、ノーマル問題が18個。解答例は「ニューヨークにピアノ調律師は何人いる?」「1リットル瓶にゼリービーンズはいくつ入る?」という問題。てか、さっきもあったね。
- MARS - Grade 12 Tasks
- 模範解答のみならず、生徒の直筆解答までupされている。
- Fermi Problems - Utah Science Olympiad
- 解答: Fermi Answers
- ユタ州で2004年に行われた科学オリンピックの一環。「ケタ数」を答えるという潔いルールが、「正確さ」という呪縛から逃れられない完璧主義人間にありがたい、のだろうか。解答プロセスはなし。
- Fermi Problems - Hampton University
- Hampton大学の問題、17問。わりと「ふつう」な内容の問題かな?
- Fermi Problems - Old Dominion University
- 自然科学な人におすすめ。物理的なフェルミ推定問題がごっそり。「物理学者たるもの、すべての物事に対して概算が出来て然るべき」...かっこいい!
- University of Maryland Fermi Problems Site
- Maryland大学の問題。結構設定に凝った問題がある。後半はやっぱり物理になっちゃいます。
- Fermi Questions
- ここが究極かも?Western Ontario大学のScience Olympicのページ。簡単な説明と解き方の実例の後、問題がなんと274問。
ちょっと毛色を変えて
- 【PDF資料】Analysis of Strategic Knowledge in Back of the Envelope Reasoning.pdf
- フェルミ推定的な問題を解いてくれるシステム作ったって。工エエエ(´д`)エエエ工
- 【パワポ資料】Estimating Market Size.ppt
- 市場規模の推定方法。パワポなのでざっくり勉強したい人にいいかもしれないが、ビジネス用途なので細かい数値は推定するのではなくwebから落とす方針のようだ。ちょい難アリ。
- How to calculate market shares? :: The Business Forum
- 自社のシェアを把握する前準備として市場規模を推定する、という立場から。わりとふむふむと読めた。たしかに、実際の仕事で市場規模概算しておしまいのワケないですしね。
面白いけど、足りてない気がする*3
上記の問題群は、「地頭力」を鍛えるという面においては良問ぞろいで、考えてて楽しい。
しかし僕の認識では、問題の解き方に習熟するだけでは、選考プロセスのケース問題対策としては、決定的に足りない、補えないものがある。
「全体観」がそれだ。
先日参加した就活勉強会によると、特にコンサルのケースでは
さほど重視されない*4のは、
- 「正解」に近い回答を出すこと。
それよりも重視されるのは、
- 回答の道筋が論理的であること。
さらにそれより重視されるのが、
- その道筋を選択した理由を、論理的に説明できること
この順で評価されるとのこと。すなわち正誤は二の次で、全体を俯瞰した上で最良と信じる選択肢を選ぶことができているか、そしてその判断をその場で説明することが出来るか、という能力が見られている。
ある問題を解かせるとき、採用側はその問題の答えを求めているわけではない。与えられた課題を題材にして、いかに自分が賢いか、いかにロジカルな思考ができるかを採用側に示す必要があるということ。上記のフェルミ問題群の中には、全体を俯瞰してあらゆるルートを検討した上で、なぜその解き方を選択したのか、しっかり説明してくれるものはない。
ロジカルな思考を鍛えるには、フェルミ推定問題(ケース問題)の演習と平行して、思考のツールを学ぶ必要がある。まだ僕も「入り口」なのだけど、その手がかりとなる本が件の勉強会でオススメされていたので、入手した。
まだ勉強中だが、両方ともとても良い本だと思う。
- 戦略思考コンプリートブック
- イシューツリーの作り方とか、仮説の立て方とか、ただのツール羅列に終わらず、一歩踏み込んだ実例と説明が好感触。3C, 4P, 5Fといったフレームワーク。
- 特にケース問題を解くときの最初のステップ、「切り口を変えて問題を眺める」コツがわかる。
- GDでまとめ役になったはいいけどイシューツリーがガタガタで議論がまとまらなかった経験があるので、とても感心するなどした。
いろいろ紹介したけど、
練習・理解が不足している。
ブクマしたり、エントリにまとめたりするだけではダメで、実際に手とアタマを動かして解いてみないと、身につかない。特に僕はうわべの情報だけ掬い取って満足してしまう嫌いがあるし、プレゼンテーション能力に難ありなのは周知の事実。コツコツ勉強して、どんどん場数を踏まないとこの先生きのこれない。
今から練習します><