寝るのも忘れて量子化学を勉強していた
- 作者: Attila Szabo,Neil S. Ostlund,大野公男,望月祐志,阪井健男
- 出版社/メーカー: 東京大学出版会
- 発売日: 1987/07
- メディア: 単行本
- クリック: 78回
- この商品を含むブログ (9件) を見る
終わりに近い部分を任されたのだが、僕は中途で研究室を移ってきた*2ので積み重ねがなくて、一文読むごとに他のページを参照して勉強して、という進め方でやった。どんどん遡っていったら線形代数まで来てしまって、そこで「ことば*3」の使い方を理解してからボトムアップで知識を補って、またトップダウンに戻り輪講担当箇所を勉強するというはさみうち方式でやった。
物理、量子化学、その基盤の数学がスカスカだったのでどんどん新しい理解が入ってくるのが楽しくて、久々に一晩ハイテンションで勉強するということをやっていた。布団に入っても興奮して寝られないのだからしょうがない。
僕はデフォルトの意識としては数学に苦手意識を持っているのだけど、いまはβエンドルフィンがめちゃ出てて、数学が美しいと思える。イイタイコトのイメージがあるのだけどうまく言葉にならなくて、そこで数式を使うと完璧かつ美麗に表現できるというこの感じがたまらない。
トップダウンとボトムアップ
Koopmansの定理でHartree-Fockの軌道エネルギーからイオン化エネルギーを算出するあたりとか、そのへんの「応用」ありきで、これを理解するために必要な情報を穴埋めで理解していった。
固有値や演算子といった基本的な概念から、分子軌道論やシュレディンガー方程式といった土台の復習、Slater行列式の記法とか「波動関数にFock演算子をひっかけると軌道エネルギー*4を固有値として与える」関係を記述したHartree-Fock方程式とかself-consistent-field(つじつまの合った場)の手続きとか反対象性原理はPauliの排他原理の一般化でその関係を数式で表すのとか、基底関数系の違いによって物理量がどう変わるのかとか。下巻の応用編が楽しみなんだけど輪講じゃ扱わないらしい。むー。
基礎的概念から積み上げるより、目的から入って必要な情報を勉強したほうが効率良いのかな。もともとその学問体系を作り上げた人も、やりたいことがあって、あとから階段を付けていったんかもしれんな。知らんけど。
なのに確立した概念を学生が学ぶときはなぜか土台から入り、何を示したくてそうしてるのかわからなくて、僕のように天下り数学が嫌いになる人も出してしまったりしまわなかったりする。今思うに、少なくとも僕は、言いたくて言いたくて仕方がない結論を隠して先を急ぐ教育側と、何が言いたいのかわからないまま与えられる情報を(とくに、なぜ他の選択肢ではなくてその方法で進めるのかわからないような情報を)順に噛み砕いていくしかない生徒との意識のギャップが気持ち悪いのかもしれない。
でも今はこのへんが頭の中でつながった気がしてうれしい。ab initioかわいいよab initio
ひっぱりだした
こういった「フロー」状態になったとき、天恵のように「あの本だ!」と関連した本を本棚からひっぱり出してくる時の気持ちの高ぶりは異常。
オイラーの贈物―人類の至宝eiπ=-1を学ぶ (ちくま学芸文庫)
- 作者: 吉田武
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2001/11
- メディア: 文庫
- 購入: 4人 クリック: 166回
- この商品を含むブログ (75件) を見る
この三冊と、あと数学と物理の教科書を何冊かひっぱりだして、今回は線形代数と量子論の基礎あたりの理解が深まったのでそこを軸に並列読みした。
- オイラーの贈物―人類の至宝eiπ=-1を学ぶ (ちくま学芸文庫)はオイラーの公式を導いたあとフーリエ級数のあたり。h
- 数学ガール (数学ガールシリーズ 1)は僕の数学への違和感・感覚ギャップをちょうど埋めてくれるレベルの本である、という認識を新たにした。必要に迫られないとなかなか手を付けない性格ゆえに、まだ内容を自分のものにできてない。今日のフローモード的には、続編の数学ガール フェルマーの最終定理 (数学ガールシリーズ 2)も買っておくべきだったかも。
- マイクロチューブル内の波動関数の客観的収束が意識を形成するというペンローズの“量子脳”理論―心と意識の科学的基礎をもとめて (ちくま学芸文庫)は難しくて消化不良だったのだけど、少し理解が進んだ。でもまだよくわからん。
早く脳の完全バックアップ装置作らんと。
今の僕の脳の状態をそのまま記録できないのがもどかしい。たぶん寝たら今の気持ちも忘れてる。とりとめのない思考を文章にするとか、教科書に解釈や参照ページを書き込んで汚しまくって、他人になってしまう明日の自分への手がかりを残すくらいしかできない。
「記憶」というのは僕のコアに近いテーマに思われる。昔いっぺん脳の病気で記憶喪失になったことがあるのもたぶん関係ありで。
とりとめもないけどそんな感じで、要するに、月曜日爆発しろ。