ミームの死骸を待ちながら

We are built as gene machines and cultured as meme machines, but we have the power to turn against our creators. We, alone on earth, can rebel against the tyranny of the selfish replicators. - Richard Dawkins "Selfish Gene"

We are built as gene machines and cultured as meme machines, but we have the power to turn against our creators.
We, alone on earth, can rebel against the tyranny of the selfish replicators.
- Richard Dawkins "Selfish Gene"

内定先が素晴らしすぎる件。または、自分自身が居るべき場所を確信できた人間は強い


来年から僕が働くセンティリオン社の社長と、隅田川のほとりでうなぎを食べながらお話する機会を得た。今週の話だ。色々と思う所があり、そして今日研究報告が終わり、久しぶりにブログな気分なので、思ったことをゆるゆると。


以前、なぜ新卒でベンチャーに入ることにしたのか という記事を書いたところ、id:karuseさんから次のような反応を頂いた。

id:Hashが将来働くセンティリオンはとても素晴らしい会社だと思っている。何度か社長ともお話しをしており、近いうちに何か一つでもいいので実績を作り、協業できればと考えている。恐らく私もid:Hashと同じような気持ちをセンティリオンやその社長に感じている。それほどワクワクできる会社だからだ。

ALL THE SMALL THINGS


そう、そうなんです。よくわからんけど、ワクワクする。なんでだろう。前回の記事はタイトルからわかるように「よくわからない期待感」を意図的に抜いてあって、一般化を意識して自分の"選択基準"を示すつもりで書いたのだけど、その記述スタイルについて、id:karuseさんが軽いツッコミを入れて下さいました。

リスク・リターンのみの話ではなく、純粋に会社に対する期待感などについて熱く語ってもらいたいなぁと勝手に思っていたりする。

ALL THE SMALL THINGS


うーん、どうしても一般化を意識して正当な理由付けをしようとすると、無味乾燥な話になってしまう。当該エントリでは「本当の安定とは」「リスクとリターン」なんて話を展開したのだけど、実際の所、センティリオンに入社することを決めた決定的な理由は合理的ものでは決して無く、むしろ、偶然と衝動的な「好意」「直感」がモチベーションとなっている。
"自己分析"なるものにおいても、「なんで好きなの?」「なんでそれがしたいの?」という質問をどんどん掘り下げて行くと、最終的にはロジカルに説明できない、剥き出しの衝動 に必ずぶつかる。なんで好きなの?と聞かれたら好きだから好きなんだよ、と答えるしかないレベルというものが存在する。人間関係においても同様で、好きな人を好きな理由などというものは、言葉にすればするほど陳腐になってしまう。
そして、僕にとってセンティリオンは「なんかわからんけど好き」という直感が先にあった、と言ってもいい。今回の会社訪問で「やっぱすげぇ!」とテンションが上がったことだし、趣向を変えて純粋な期待感・高揚気分のまま、感情メインでてけとうに書いてみよう。


語ることの嬉しさ。


この日いろいろと話した中で一番嬉しかったのは、社長の問題意識と僕のそれが非常に似ていることが判明したことだ。今の世の中をどう見ているか。世界に、どういう形でインパクトを与えたいか。実現のために何をするのか。
そうした方向性を共有できるかどうか、これは結構重要なポイントである。なぜならば方向性が共有されることは、議論や決断における「前提」が共有されることに他ならない、と僕は考えるからだ。前提が共有されれば、ギアを上げて高速で動いたとしても、ばらばらになることはない*1

事業の「原理原則」はどこにあるか。会社の私益やメンツにあるのではない。それは社会や人の役に立つことにある。利用者にすぐれた製品やサービスを提供することが企業経営の根幹であり、原理原則であるべきだ。
(生き方―人間として一番大切なこと, p.88)


もひとつワクワクするのは世界に目を向けている点であり、言うだけじゃなくて、着実に手を広げている話を聞いて興奮する。中国に開発チームを持っているのだけど、ひょっとしたら、中国に限らず新興国にぶっとばされるかもしれない。というか、ぶっとばされて追い詰められたい。いやむしろ積極的にぶっとび(ry

  • 男気あふれる起業でカッコイイ。
    • 世のため人のため。サラリーマンではできないことをやるため。
    • 中の人に歴史あり。
  • なぜかみんなニコニコしてる*2
    • 社員さんの顔を思い浮かべると笑ってる顔しか出てこない...
  • 組織、チーム、コミュニケーション
    • 中の人が好きなようにやって、それでいてチームとしてのメリットを享受できる組織が理想
    • ビジネスの付き合いでも、個人対個人の信頼関係ありき。
      • 海外との取引でも同じ。やっぱり個人同士の信頼が成り立っていないと、よいビジネス関係を築けない。


センチの社員さん(の一部?)にはバッチリブログを読まれているらしく、社長から「Hash君のブログを読んでると、本質的な思考を意識しているようにみえる」と指摘を受けた。「本質的な思考」をしているかどうかわからないが、僕は「思考を掘り下げる」内省状態と「とにかく動いて経験する」活動状態、この双方の性向を持っていると考えていて、このうちの前者が相当するのかもしれない。「情報とことばと本質」についてはまた別個に記事を書いているので、気が向いたらupしよう。


また何か、おもしろい課題をもらった。


センチの大きな魅力の一つは"無茶振り"にある、と思ってる。朝三暮四の新興企業故に、無茶を通してでも、限界を超えたクオリティとスピードを求められる。
そのような「常に背伸びしている」状態が、内定者にも降り掛かってくる。内定が決まるやいなやiPhoneアプリケーションの企画を提出する課題が与えられたし、五月までは毎週耐久で新企画の案を出し続ける発想マラソン的な課題(わりと楽しかった)をやっていたかと思ったら。この日、会社にて課題が知らされて、作業用にMacbook Airを貸し出された。あるデータを元にして、その活用法を模索したり、おもしろく見せる方法を考えだす、というものであり、簡単な実装までやるかもしれない。内定暴露記事で書いたように、僕の認識では、センティリオンは

「数字や膨大な情報を見たくない人のために、技術を駆使してわかりやすく見せてあげる」


というミッションに対して強みを持っていると思っている。要するにデータマイニング関連で、この課題はまさにセンティリオンの真骨頂と言ったところ。そして社内でRが多用されているみたいなので、次回のTsukuba.Rからは、もうちょいと真面目に受講するようにしよう。日常的にR使うとか難しいですid:syou6162先生。
内定者第一号であるところのid:rindai87も別の課題を無茶振りされている模様で、たぶんこの流れだと内定者第三号のK氏も独自の課題を振られるのだろう。内定者の話が出たのでもう少し続けるが、僕の見た所によるとこの三人は、それぞれ違ったキャラクター/強みを持っているのだけど、それでいてこの会社に惹かれるある種の「芯」を共有しているように思う。

僕は一発でガツンと相手の心をつかむトーク能力は持っていないけど、少なくとも、足を使って動くことは出来る。せっかく副社長とのメールで「いつでも来ていいよ」と言って頂いたのだから、自重しないHashとしては、今後も社員さんとお昼を食べるために乗り込んで行こうかな。


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後悔恐るるに足らず


完璧な人間はいない。同様に、完璧な組織というものも存在しない。だからここまで書いた感情も、容易に崩れ去る可能性がある。実際に現場に出てみて自分の無能に絶望したり、自分の甘さを恥じたり、人間関係でストレスを貯めたり、そりゃいろいろあるだろう。その可能性を過度に恐れ、今この気持ちを語らず、沈黙するという選択肢もある。その場合、将来的に"現実"にぶつかった時、おそらく「ああ、やはり自分の認識は間違っていた。吐き出さなくてよかった」そう思ってホッと胸を撫で下ろすことだろう。

そんなチンケな安心のために、今現在の感情を押さえ込んで何になるのか?僕はそう考える。恥とはかくためにあり、後生大事に隠した恥は徐々にパーソナリティと同化し、守るべき自我の一部として、そして取り除くことが困難な弱点として、殻の底に収まってしまうのだろうと思う。そうならないためには自分と向き合う必要があり、僕に取って自分と向き合う方法の一つは、こうして文章に吐き出すことだ。

自分が本当に探していることと真剣に向き合うことができた.
だから私は,もうこの先迷わないと思うのだ.
たとえ一度,何らかの理由でその道が途切れようとも,そこに帰ってくることができると思う.
私は,ずっと自分が何をしたいのかわからなくて迷ってきたから,これは本当に大きな収穫だ.

COMME des GARÇONS


自分自身が居るべき場所を確信できた人間は強い。

たいていの人は、好きなことをやるべきか、それとも儲かることをやるべきか、その間で揺れて、結局、何もできない。しかし儲かる仕組みと、誇りを持てる仕事というのは両立できる。情熱を傾けられる仕事をやるのは当たり前。そのうえで、ビジネスの仕組みをつくるんだ。その両輪をまわす必要がある。
(成功者の告白 5年間の起業ノウハウを3時間で学べる物語, p.45)


働く会社のことを理屈抜きで好きだなぁと思える僕は、かなり幸せな人間だと思うのだ。
そういうわけで僕は、五ヶ月前の自分の選択を誇っている。

*1:またしても断言口調ですが要するに嬉しかったのです

*2:仕事中にニコ動を見ているという意味ではない