インド出張から得た英会話の学び
三週間ほど海外に出張していた.インドである.趣旨としては,僕が持ついくつかの領域における専門知識と経験をあちらのエンジニアに展開する,先生役として呼ばれた形..になるだろうか.単にセミナーとかを聞くだけの出張なら今夏にも行ったところだが,三週間みっちり先生をやるとなるとプレッシャーが違うし,事前にインドのチームと喋ったところ僕に対する期待値が異様に高く,胃の痛い思いをしながら突入することになった.
午前は講義を行い,午後は行列のできる Hash 相談所,夜はホテルに戻って翌日のトレーニング資料を作る... というすたーたっぷ勤務時代を彷彿とさせる社畜業に勤しみ観光どころではなかった (たまたま向こうで働いていた友達に会ったのと,インドチームとビール飲みに繰り出したりはした) ので,費やした時間分は役に立ったことを願う.黒い髭をたくわえた厳ついエンジニアも鋭い眼光の優秀な若者もみんな良い人で,英語の多少の不備は保管してくれるし理解しようとしてくれる.僕としてはけっこう気に入ったのでまた呼ばれたら行きたいと思う.
で,英語読み書きはそれなりに馴染んではいたけど,講義から質疑応答から (日本語でも苦手な) 酒の席の雑談から,全部英語で聞いて喋ってを何週間も続けた経験は人生で初と言ってよく,それなりに学ぶところがあったので箇条書きで投げることにする.思い出したらこっそり追記する.
it depends 超便利
- 何か聞かれたときに (特に技術的な質問とか) その場で Yes/No やら確定した答えを返せないことあると思うんだけど,そういうときにとりあえず「場合によるな」と前置きして,それぞれの "場合" を説明して対話を続ける
- その場で説明出来なくても "it depends" だけ返せば "depends on what?" みたいに返してきて会話が前に進む
I mean... / what I said is... で説明を補足する
- こちらの喋った内容がどうも相手にピンと来ていないようであり,かつすぐに質問が返ってこないときは,同じ内容を別の言い方で伝え直す
- この項目に限らずだけど日本語でもスムーズなコミュニケーションのためにやることだなこれ
well... / let me xxx... で場を繋ぐ
- 講義中に質問を受けたり,説明のために準備が必要なときに口ずさむ (?) フレーズとして使っていた
- トラブル調査するときにログファイル開きながら let me check the log file... とか
- これはどちらかというと相手に何か伝えるというより,自分のための面が大きい.少なくとも僕は,脳内で常に英語での思考を続けてリズムを保たないとダメになるのでやっていた
進捗どうですか ... How's xxx going? / あるいは単に How is it going?
- It's going well, 終わった話だったら It went well, 問題があれば we have some problems
- xxxer than I expected
I'd like to を多様
- ネイティブ的に自然かどうかは知らないけど,よく使ってた.あとなんか聞かれたら I prefer
I feel (felt) でほんのり意見
Let's say, で例示
- 一般的な説明をしたあと「例えば」で具体的な話をする流れはよくあると思う.そこで仮定を置くときに lets' say... が便利だった
- for example, でもいいんだけど,気分的には for example でビシッと個別例を出すというよりはもう少し軽く,仮に xxx だとしよう.そんなときは yyy になるんだよ.という短いフレーズの例示に使いやすいのかなという印象を受けた
学校英語で習ってそのまま忘れてた isn't it? みたいなお尻に付ける質問文, 実戦では便利
- 疑問文にし忘れて喋り始めてしまったときに最後に付ければ体裁が整う
- 文法用語的には tag question というらしい
seriously? はほぼ「マジで?」みたいに使える
- seriously↓, seriously↑!? などイントネーションでニュアンスが変わるところも「マジで」っぽい
- really? も同様に使える模様
聞き取れなかったら sorry? で聞き返す
- ほんと実感したけどわからないとき聞き返すの超大事.わからないのは普通.
- お互いに一発でコミュニケーションが通らないことを想定して喋るようにする
- pardon? は失礼という話をどこかで聞いたし実際向こうでも使ってる人は見なかったので, sorry (あるいは I'm sorry?) 一本で聞き返し続けた
- 速度が速すぎたら sorry, could you speak slowly? とお願いする
- 特定の単語だけ聞き取れなかった (たとえば it was caused by xxx, で xxx が聞き取れなかったとする) のなら,sorry, you said... it was caused by... what? とわからないところを what で置き換えて疑問文ぽいイントネーションで聞き返せば伝わった *1
- ほんと実感したけどわからないとき聞き返すの超大事.わからないのは普通.
言葉としては聞き取れたけど意味がピンとこなかった時は
- what do you mean? とか,what do you mean is ... とこちらの言葉で言い換えてみる
- I couldn't get what you said, のあとにそれってつまりこういうこと? と続けるのでもよい
- get を「理解する」という文脈で使えるようになってからテクニカルな内容を話すのがすごい楽になった
- あとは for example? でもう少し細かい話を聞き出す
ok, ok... で相槌を打つのらくちん
- 「それな」でビシっと同意したいときは "exactly"
- 何か許可とか同意を求められたときは "sure"
- ところでインド人のジェスチャーで最初混乱するのが 頭をゆらゆらとする,一見 No に見える Yes で,会話の中でもよく頭をゆらゆらしてる.僕も影響されて最後の方はゆらゆらしてた気がする
"cool"
- くぅ, みたいな発音で相槌に使っていた.ok, よりも会話の流れを終わらせる傾向が強い
- 女の子はあまり使わないみたいだった
講義の中で does it make sense? so far any question? とかで質問を引き出してみる
- これは先生役で行ったのでよく使ったフレーズ
- とはいえ基本的にみんな積極的に講義中に割り込んで質問してくるので,日本人相手みたいに質問ターイムを設ける必要はあんまなかった
インドはヒンディー語が公用語として定められているものの,実際は地方ごとにまったく別の言語を喋っていて,オフィスに居るエンジニアたちもそれぞれの home town language が異なるそうだ.そこでコミュニケーションを取るためには bridge language としての英語を使うしかない.そういう意味で彼らにとっても英語は「第二外国語」と言ってよく,ぼくのような外国人が英語に不慣れなところを見せても非常に寛容だったし,お互いのことを理解しようとする姿勢はとても優しかった.インド英語は発音が独特でかつめっちゃ速い,とよく言われるし実際にインド人の間で本気で交わされる英語の会話には付いていくのが難しいが,特に educated な人は基本的に理解されやすい英語を喋るすべを知っているようで*2,僕が「ちょっとわからん」という反応をすると,次からはとても聞き取りやすく喋ってくれる.
一方で Uber のドライバーとかローカルのお店の店員はそもそも英語なのかヒンディー語なのかまた別の言語なのかすらわからず,あるドライバーはマイクつけてて電話の相手と喋りながらおもむろに僕に話しかけて来るので辛かった*3.
ところで「日本っていくつ言語があるん?」という質問に最初は戸惑ったが,彼らは同じ国の中でも違う言葉を喋るのが当たり前なのだと気が付く.「みんな日本語使ってるよ.方言 (dialect) でイントネーションとかアクセントは違うけど,書き言葉はどこでも伝わる」と答えると「one country one language, それは最高やね」みたいに感心していた.
雑多な話題
あと日本に関する話題で面白かったのは
- イギリスには Queen がいるけど,日本にも King がいるよね,そんで今度 Akihito 辞めるんでしょ (よく知ってる)
- 日本の学校ではサムライ・クラスルームがあるのか? ニンジャ・クラスルームは?
- 剣道なら授業あるけど..
- 下ネタは世界共通.天丼も笑いの文脈として共通
- 宗教の話をわりとカジュアルに振られるのがちょっと困った
- 日本では過労死がひどいらしいが,働きすぎた人が道端で死んでるのか
- useful Japanese として "do-mo" を教え,日本では respect を示すため名字に "-san" を付けるのだと伝えた結果 "do-mo, Hashimoto-san" と呼びかけられる事案が発生
出張以前の英会話のお勉強
基本的にお席に座って地道にやる "お勉強" が大好きな人間なので,この特性を利用して,現場に飛び込む以前になるべくパフォーマンスを高めようと試みた.ひとつは専門知識のぶらっしゅあっぷとトレーニング計画 *4 だが,英語力という面でも何かやっておこう,と考えた.
- きちんとしたビジネス英会話力を付けるべく Berlitz 英会話 で短期集中受講
- 英会話教室もいくつか比較した結果,Berlitz に決めた.マンツーマンでじっくり喋ることが出来るのと,"Berlitz Method" と呼ばれる,雰囲気で会話を進めずに文法的に正しい文を作るまでしつこく繰り返させられるというスパルタ方式が気に入った
- ビジネス英語は必要なくて雰囲気で会話できれば良いのなら,後述の DMM 英会話がちょうどよいと思う
- Berlitz は老舗だけあり歴史的経緯を拭い去れていないシステムがちょっと非効率だけど,先生やカウンセラがとても協力的で僕の事情やニーズに合わせてスケジュールをカスタマイズしてくれ,心地よくレッスンを受けることが出来た
- Gaba もマンツーマンでコスト的にはほぼ Berlitz と並んでおり,システム的にはむしろ洗礼されていたのだが,営業の押し付けが肌に合わなかった *5 のと,個室ではなくて適当に区切られたブースでレッスンするので周りが気になってイマイチ
- シェーン英会話 の雰囲気とコスパはよかったけど,子供塾みたいな感じで,人生に余裕のあるご家庭が教養としてやるっぽさあった.あと短期集中カスタマイズとか無理そうだった
- 英会話教室もいくつか比較した結果,Berlitz に決めた.マンツーマンでじっくり喋ることが出来るのと,"Berlitz Method" と呼ばれる,雰囲気で会話を進めずに文法的に正しい文を作るまでしつこく繰り返させられるというスパルタ方式が気に入った
人生廃課金厨なので月収を墓場に直送, 英会話短期集中コースを召喚するなどのプレイを行う
— 俺のミームを受けてみろ (@T_Hash) October 31, 2017
英会話のフィードバック, 自己認識よりも良い評価だったけど「雑談のための話題を用意する」って英語関係なくない?話題性のない人生よ… pic.twitter.com/1AjqOgxi0n
— 俺のミームを受けてみろ (@T_Hash) November 25, 2017
- 『どんどん話すための瞬間英作文トレーニング』で中学生レベルの英語が瞬間的に出るように鍛える
- 様々な英語学習法を比べてみて,現在自分に最も適当と思われたので購入
- 日本語の単文から,英文を瞬間的に作る反復トレーニング.読み書きはそれなりに複雑な事ができるのに喋りに自身がない.. という人に良さそうだったので
どんどん話すための瞬間英作文トレーニング (CD BOOK)
- 作者: 森沢洋介
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インドで腹を壊さないためのたった N ツの冴えた方法
先にインドを経験した先人がお腹を壊しているのを見て (僕自身も 6 年前にインドを訪れた際はやられたので),彼らの意見を取り入れた結果,最後まで体調を崩さず元気に過ごすことができた.ポイントは以下:
- 整腸剤 (ヤクルト BL 整腸剤, 下記リンクあり) を毎食後飲む
- 水はペットボトルの水だけを摂取すること
- ジュースやカクテルに入ってる氷に気をつける
- 歯磨きもペットボトルの水でやる…という話も聞いたが僕はそこまではやらなかった.普通に水道水で歯を磨いたあと,気持ちペットボトル水でうがいするくらい
- 屋台の食事は食わない
- 6 年前は喜んで屋台のチャパティとかラッシーとか食いまくってた
- 単なる栄養摂取で事足りる食事は COMP で済ます
- 同僚とのランチやディナーは普通に食うが,一人の食事では胃をいたわる,という方針
- インド,基本的にスパイシーな食事しかないので,三食現地食を食ってると日本人の胃は回復時間が足りないんだと思う
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COMP飲も? https://t.co/7j4zipbQwI pic.twitter.com/m3XSUeoCza
— COMP.JP (@comp_official) March 11, 2017
いじょ
最後に,そのままでは味気ない食事になりがちな COMP を飲む際のコツですが,上記 COMP ちゃんに飲ませてもらってると思うとバブみがあり満足感が上がります.