インタビューでは語らなかった Yet Another ハチロク世代の話をしようとしたら失敗したがせっかくなので公開する
世代論はあまり有用ではなく結局個人の問題じゃね?と感じる最近ではあるが。
「ハチロク世代」がIT業界を変える日 − @IT自分戦略研究所
2007年末にid:yuyarinが立ち上げた「ハチロク世代」がついにメディア(@IT自分戦略研究所)に取り上げられ、僕もちゃっかりインタビュー受けてきた。
しかし"@IT自分戦略研究所"というメディアの特性と特集の趣旨、参加したメンツも手伝って、どうしてもIT業界や開発経験の話が多くなり、僕は大して語るネタがなくへらへらしてただけなのできわめて発言が少ない。個人的に不完全燃焼なので、ネット弁慶である僕はここになんか書く。
まず、世代論そのものについて
今までいくつか世代論的なものを書いたのだけど、
極論気味の世代論は反発を招く気がしているので、前提(言い訳?)のようなものを記しておこうと思う。
とりあえず。時代は流れて人間は生まれ死んでいくのだから、どの世代もユニークでありかつ必ず「今までにはない」特徴を持っており、そして一定数の上の世代はその新規性を受け入れないものである。加えて、世代論は確率分布で考えた方が賢い。世代論は「こういった傾向の人間が"多い"」という割合の話として読むべき。
そして、一定の時代で人間を区切って名前を付けることそれ自体には、さほど意味はない。団塊の世代、団塊Jr、失われた10年、ゆとり、アラフォー、そしてハチロク。これらは口当たりが良いBuzz Wordなので、一人歩きしがち。僕も気をつける。
それでは、世代論が完全に無意味かというとそうではない。名前を付けることでイメージを固定して語りやすくなるし、ゆるいくくりで集まるための口実となる。電子が波と粒子の性質を持っているんだけど便宜上粒子としてモデル化してみるみたいな(ほんまか
また、世代論は決定論ではなく選択可能なものなので、自分にプラスになる時のみそれを使うべきだと僕は考える。他人を貶めたり機会を狭めるために使うべきではない。
「かなり偏っていた」ハチロク世代インタビュー
その意味で今回のインタビューは、新世代を受け入れるIT業界視点の特集としては良質なものだと思うが*1、純粋な「世代論」として見るとかなり偏っていた。単なる「1986年周辺生まれ」を全体集合とすれば、あのメンツは2σを超えていたのではないかと思う*2。
はてなグループ「ハチロク世代」は、そのメンツ・活動が情報系に偏っている*3のも確かな話で、オフに行くとみんなプログラムの話を始め、僕はわけがわからなくなり意識を飛ばして酒を味わいながらとりあえず笑って頷いている。あ、でも専門知識の噛んでない業界の動向は聞いてて面白い。
まあプログラムもネットワークも勉強になるから別に良いんだけど、なんとなく劣等感と居心地の悪さを感じたので、僕は去年
こんなキーワードを作成したりした。ここのメンツで、自称非IT限定PC持ち込み禁止オフとかやったらおもしろいかな。
あと、海外はどうなの?という話がここのブコメで出ていたけど、言われてみれば確かに、SVC2009に参加した人が一人くらいいたらバランス良かったでしょうね。
じゃあ、一番の特徴って何よ?
インタビューがITに特化していたのはわかった。では、86年生まれの僕自身が身の回りを見て考える、86世代の特徴とは何だろう。
このエントリのコメント欄でid:y_arimさんに指摘されてなるほどと思ったことなのだが、「ネットとリアルの区別なく」コミュニケートし、インターネットの楽しさをしゃぶり尽くしている層は"マイノリティだマジョリティだと議論する以前の問題"で、まだ、PCといえばWindowsでYahoo!検索とmixiと大学のメール、という人は驚くほど多い。
別に使ってないから悪いとかそんな話ではないが、はてなコミュニティ「ハチロク世代」を普通だと考えていると拍子抜けしたりする。そんなこんなで最近ネットをやらない友人と話すのがあまり楽しくないのだが、そう思うたびに、いかんいかんと首を振っている。
...などと書いてはいるが、僕もひょっとすると、2006年にECナビのインターンに参加しなければ、今でも「使ってない側」のままだったかも知れない。
それでも。純粋な時代の流れとして観測される、86年周辺の世代が共通して持つスキル/経験としては、
- mixi、E-Mailなどリアルに基づいたコミュニケーションツール
- 感覚としては、高校生から持っていた携帯電話の延長
- Skype、Messengerなどを使う人も多い
- ネット情報の(簡単な検索など最低限の)活用という手段
- 存在する情報を利用することはうまい
- ニコ動、Youtubeの「利用側」はほぼ全員が経験
などがあり、ここのキーワードは
- 「リアルドリブン」
- 「利用側」
とまとめられるのではないか。
すなわち、大多数のハチロク世代はid:umedamochio氏の言う「あちら側」へ自身を投射することなく、「こちら側」のブースト剤としてのみインターネットを利用する。コミュニケーションは未だ、リアルの繋がりが前提なのだ。
そして平均的に、ネット上に存在するコンテンツを「利用」する術には長けている。大学のレポート課題が出たらまず検索して、出展に平気でWikipediaを記載する。Youtube, mixiなど「あるもの」は使う。しかし、自分からウェブ上に何かを「発信」する人は少数派*4。
90年代生まれになってようやく、"IT"が生活に浸透し、自身の分身をWeb上に形成して自分から発信し、他人とコミュニケーションすることが一般化する。確率分布のヤマの部分が追いついてくる。
下の世代の動向が気になってたまに妹(16歳)にそのへんの事情を聞いたりするのだが、彼女は自分でメルマガを発行したりニコ動にうpしたりと、ごく自然に"発信"側に回っていることに驚かされる。妹が特殊なのかも知れないが。
斯く言う僕もケータイ世代に遅れまいと*5モバゲーに登録してみたのだが、あのキラキラした文化にオジサン毒気を抜かれてしまいましたよ。
しかし過去にさかのぼっていろいろ見てみると「最近の若いヤツは駄目」という話が100%出ていますね。ゼロ戦パイロットが「私も若い頃は"最近の若いヤツは"と言われたものでした」と語るエピソードをどこかで読んだ。
歴史は繰り返すのですかね。
いじょ、投げっぱなし。
舞台裏
あーだめだ、周囲のサンプル数が少なすぎてたいしたこと語れんわ。人間性の特徴とかわからないのでネットの話になってしまうし、というかそもそもナナロク世代自体も「突出した個人」を対象とした話だから、別に無理に大衆論に落とし込む必要はなかったのではないか...
うん。やっぱ世代論は鬼門ということで。ごめん。
インタビュー裏話
- 裏話(1)。名言を連発しているid:isocchiは話すことをあらかじめ考えてきていた。就活生め。
- 裏話(2)。id:yuyarinがぷちこ帽をかぶらなかったことが心底残念で夜も眠れない。
- 裏話(3)。インタビューを受けながらSkypeによる「ここでボケて!」指示が飛び交っていた。
- 裏話(4)。このあとみんな(-1)で焼き鳥食いに行って日本酒を飲んだ。みんなありがとう、また飲もう。