シリコンバレーは僕にとって何であり得るのか(ベンチャー的な意味で)
先の日曜日、早稲田にてシリコンバレーカンファレンス(SVC)2009の報告会が開催された。今年SVCに参加した人は100人超。うち35人程度が集合し、思ったことなどを共有し合った。
僕は今年参加していないが、来年の春(つまり修士卒業直前)の参加を検討しているため、ちょっと覗きに行ってきたわけだ。
まぁシリコンバレーに行ってしまう人の集まりだからみんな熱いだろうと想定し、今回僕は、あえて冷めた視点で見てみようと決めて臨んだ。その結果考えたことなどを、メモと共に記す。
ちなみに最初に。この報告会全体の流れは、まず自己紹介があって、後に
1.全体ディスカッション 「シリコンバレーカンファレンスとは何だったのか振り返る」
プロジェクターで写真や印象に残った言葉、シリコンバレーでの訪問先、カンファレンスのプログラムなどを順に見ていきながら(事前に集めておく)、全体でいったい僕らはSVに出向いて何をしてきたのか振り返ります。司会役を2人くらい置いて、話を振っていけばぽろぽろとおもしろいことが皆さんから湧き出てくる気がします2.グループトーク
SVC09 帰国報告会(関東) : ATND
カンファレンスと同じく、パネルトピック形式。テーマや立場で何グループかに分けてやってみませんか?「留学」「シリコンバレーで働く」「学生」「社会人(若手)」「社会人(中堅以上)」「文系(ぼくがやりたい)」「プログラマー」「ベンチャー・スタートアップ」「SVのIT大手企業」「日本とSVの違い」などなど
だいたいこんな感じで進んだ。後述するが「2.」のグループトークでは、来年度から日系ベンチャーで働く身としてベンチャーの本場シリコンバレーの事情についての議論に加わろうと、「ベンチャー・スタートアップ」のトークに参加した。
SVCって何だ?
SVCは昨年度まではシリコンバレーツアーとして開催されていたものであるが、
そのうち、「もう私たちが手取り足取りする段階ではないのかもしれない」という方向に話が向かいました。
シリコンバレー・ツアーの存在をアンテナに引っかけ、それに反応し、応募してくる若者たちの意識は十分に高い。彼ら彼女らの意識の高さと行動力に、シリコンバレー・ツアーを委ねてみてはどうだろうか?
JTPA シリコンバレー・カンファレンス 2009 参加者募集のお知らせ - JTPA
という方針のもと、以前ならば一週間程度かけてAppleやGoogle等を回っていたツアーを「一日だけのカンファレンス」に縮小し、参加者の自主性に任せて好き勝手やってもらうイベントだ。この方針について言及するのはとりあえず置いておいて、参加者はカンファが開催される2009年3月21日周辺に渡米し、グループを作って活動してきたそうな。旧知の(?)ハチロクだとid:syou6162, id:suztomo, id:yaotti, id:satzzが参加し、それぞれポジティブな刺激を受けてきたようだ。
現場にぶっ込むことのインパクト
参加者が口を揃えて言うのが「参加して良かった」そして「向こうの空気を体験しないと分からない」ということ。
初めて見るシリコンバレーの空はどこまでも高く広く、そこで働く人々の生き生きとした表情。
もちろん、そこで生き残ることにおける厳しさも合わせて、確かにシリコンバレーは意欲ある人々を魅了しつづけるに足る場所であることを全身の感覚をもって感じた。
SVCから帰ってきて。 - or Simple
見ると経験するというのは0と1の違いほど大きいんだなということを実感した。あの青空のイメージは鮮明に焼きついている。筑波に戻ってきてからも空を見上げる日が多くなっているなあと思う。ああも毎日あほみたい(褒め言葉)に天気がいいと嫌なこともふっとぶし、今日もまた頑張ろうと思える感じがした。
JTPAのSVCで感じたこと、考えたこと。そしてこれから - Seeking for my unique color.
シリコンバレーの青空には中毒性があるようです。ご利用は計画的に。まぁ僕自身、早起きできた週末に馬鹿みたいな青空が見えたりすると、気分良くて料理と洗濯に精が出るような単純な人間なので、案外魅力的な要素かもしれない。
約三年前にいっぱしのミーハーとしてid:umedamochio氏に影響されて依頼、シリコンバレーいいなぁと思ってはいたが、行動に移すまでは至らず。僕は未だ"0"の側にいる。
日米ベンチャー比較
談義メモ
- 日本でベンチャー、というのは選択肢から外れつつある
- 日本初のサービスを向こうにlocalizeすることの難しさ
- 日本人がやってできないことはない。
- のだが、成功例がなく、負のスパイラル。
- 大企業には一回入らないと一生経験できない。後からでもベンチャー行けるよ。と
- 僕も半年ほど前はそんなことを思って大企業志向だったな↓。今は別の考えですが。
僕は、いつかやれることよりも、今しかできないことに価値を置くべきだと思っている。同様に、できることが狭まる選択肢は、他の条件が同じなら、選択しないことが賢明だと思っている。就職先の選択においても同様で、僕がいきなりベンチャーに行かず大企業に行くつもりであるのも、
- ベンチャー => 大企業(とくに異業種)
は、かなり難しい一方、
- 大企業 =>ベンチャー、 あるいは
- 大企業 =>大企業
の転職が比較的容易であると思われるからだ。もちろん転職するかどうかわからないし、長いこと務められる企業を選べればそれに越したことは無いけど、大事なのは、可能性を狭めないことだと考える。
理系修士が就活を経験すべきだと思う理由 - ミームの死骸を待ちながら
- 日本だと大企業はローリスク・ハイリターン、ベンチャーはハイリスク・ローリターン
- 目に見えるところでリターン得ている人がすくない。
- 米だと大企業はローリスク・ミドルリターン、ベンチャーはハイリスク・ハイリターン
- 日本のベンチャーは、まずツテ営業。
- 米だと「いいものはいい」。
- ツテ営業は儲からない。
- 日本ベンチャーは、サービスやりつつも受託で食ってる。
- 米ではありえない。お金があるから要らない。
- 日本では爆発的に稼ぎ得ない。米での爆発を期待。
- 彼女とか嫁さんがいるとリスクとれない。
- 日米で違うのは"市場"
- インドの奥地で作ったものが日本でヒットするか?ありえない。同様に、日本で作ったものが世界でヒットする可能性は低い。
- 何も知らないでエイと行くのもありかもしれないが、(ユーザーローカルは)土壌があるのでやれるとこまでやってみる。
- ユーザーローカルは受託やってない。
- 何も知らないでエイと行くのもありかもしれないが、(ユーザーローカルは)土壌があるのでやれるとこまでやってみる。
- 受託をやって、あまりのカネで自社サービス、というパターンは危険。
- 受託やってしまうとおいしい(確実に数千万入る)ので、死ぬ気で自サービスをやれない。片手間サービスではヒットしない。
- チャリンチャリンビジネスへの移行を模索。
- ニワンゴは社内ベンチャー。Twitterはスタートアップから。どうやって儲けるねんというサービスでもやってしまう。
- GREEは個人でやってうまくいってからカネもらって拡大したけど、SNSの成功事例があった。
- まったく新しいところにお金を流してくるシステムはない。
- iPhoneが出た頃から、アイディアと技術があれば個人でもマネタイズできる仕組みができてきている。
考えたこと
つなげる、つなげる。リンクした問題だこれは。
日本ではアーリーのベンチャーに金が入る仕組みがないから*1、受託で稼ぐしかなくて、受託がおいしいから死ぬ気で自社サービスを作れず、よって爆発的なヒットがない。悪循環。
また、失敗を許容する文化がないことも大きな課題だ。フォントを大きくする程度には大きな課題だ。
などと書いていて、想像ではあるが、僕もなんとなく分かるような気がする。というのも、就活を通じて「X年でXX%が倒産する」という*2ベンチャー業界で長年生き残ってはいるが、どうにも鳴かず飛ばずの日系ベンチャーにいくつか出会ったからだ。上記の悪循環な事情もあって、そういった会社は、目立たないだけに少なくないのかもしれない。
日本ベンチャー、結構な叩かれっぷりである。
......少なくとも幸運だと思うのは、僕はベンチャー企業の「爆発するか否か」のカギを握る代として参戦することが出来る点なのだけど。きばってこや。
シリコンバレーは僕にとって何であり得るのか
判断するためには体験してみる必要がある。僕が研究者の道に向いていないことを確信したのも、卒論研究を(自分なりに)本気で取り組んだ経験からだ。現場に飛び込んで体験して、しかるのち判断を下す。
体験しなければ「これは違う」という結論を出すことも出来ない。僕はタバコを嫌う正当な根拠を得るためにタバコ吸ってみようとは思わないが、こういった、人生に関する問題はアタマで考えていてもどうしようもないのも確かだ。
このままでは半端なあこがれをずるずると引きずったまま就職することになり、どちらにしろよくない。現場を見ることで、SVの良いところだけ取り込むという選択肢も見えてくるはずだ。
「現状の良いところを維持しつつシリコンバレーの良いところを取り込む」というテーマ関連でついでに言うと、社会人参加者を中心に、シリコンバレー「と」働く*3という視点を持っている方が何人か見受けられた。しかし個人の特定が疎かになっており、誰が話していたか失念。「それ自分じゃね?」という参加者の方はコメント下さい><