生命系の学位を取った先輩方の講演を聞いて思ったこと
うちの学科がなにやらでかい研究プロジェクト*1を当てたらしく、向こう5年は資金が潤沢にもらえる、という。その一貫で博士課程を修了した先輩を招いて講演してもらうというイベントがあった。教授・准教授・企業研究者・現役ポスドク in USA、一昨年学位を取ったばかりの若い先輩など、多種多様で優秀な面々が揃っていた*2。朝から晩まで集中モードで聞いてきた。
そこで聞いたこと、思ったこと、要点などをつらつらと。
「博士行くのは結構いいよ。具体的にはこんなところがいいよ」
博士を出た先輩で、博士に行かなければ良かった、という人は一人もいなかった。もちろんイベントの趣向の問題もあろうが、交流会で話を聞いた限り、本心を偽って講演した人はいないっぽい。
しかし学位は、目に見える差として現れない
博士号とる?とらない?徹底大検証!―あなたが選ぶバイオ研究人生
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においてもデータとして示されていたが*3、学位取得者と修士卒の学生の間で、待遇の差が明確に現れてくることはない。給与もたいして違わない。ここはガチ。
で、何がいいかというと、みな口を揃えて言うのは「視野が広がる」という点。ほんなん社会出た方がえんちゃうんな?とか突っ込みたくなるけど、どうやら研究対象に深く深くのめり込むことで誰よりもその対象に習熟し、悟りが開けるというか…他に対象を移して思考するときも、広がった視点で物事を見れる、という。勝手に補足すれば、視野が広がるというか「思考パターンが洗練」される、てな感じかな。武道の修行みたいだな。
博士道とは死ぬことと見つけたり。シャレにならん
ただ
「自分の金と時間を投資したのだから、その対象を真っ向否定することはない」という心理トリックも考える必要がある。
しかし、修士で良いところに内定した後それを蹴って博士に進み、学位を持って企業に就職したある人は、自分は博士を取るために投資した時間も金も無駄にしないために全力を尽くした。だからやりのこしたことは一切無いし、今はモトを取って社会や周囲に還元できていると思っている、とのこと。
ここまで言えたらもう他人が言うことはない。素晴らしい。
…ん、ていうか、今僕も学費払って丸一日投資してたんだった。時間も金も無駄にしてらんねぇ!と無駄にモチベ上がった。その決意をブログにぶつけている間違った22歳である。
ポスドクについて
現役ポスドク、しかもコネに頼らず自力で口を探したという人が有益なWebサイトをいくつか紹介してくれた。
Page Not Found | HHS.gov
研究留学ネット←ここは超おすすめらしい
Postdoc Jobs.com - Search 100s postdoctoral positions worldwide!
ポスドク先を選ぶときには、ラボのグラント状況も考慮する必要があるとか。せっかく口が決まっても、数ヶ月で「次の研究費取れなかったから悪いけど他所行って」となる可能性がある。
- 異分野にとびこむときは
- 完全にまっさらにするのではなく、今まで培った知識に半分足を置きながら全身全霊で応用に励む。