つくば変態三銃士がDBCLSに集結し、世界の秩序が崩壊する
「つくば 変態」でググると出てくる、変態的にLifeHacksが好きなid:Hash, id:syou6162, id:wakuteka(旧: id:wakataka_423) の三人をして"つくば変態三銃士"という*1。
2009年の4月をもってこの三人がDBCLSにアルバイトとして参戦することが決まった*2。僕は今日がバイトの初日で、これから毎週1or2日、フレキシブルな日程で、東大浅野キャンパスで働く予定だ。DBCLS(およびその中の人である坊農さん(id:sayamatcher))と僕のいままでの関わりについては以下を参照のこと。
4月からの生活に備えて、ある人はマイナビバイトで仕事を探していた。一方僕はTwitterで「バイトしたい」と呟いたところ、ウチにこない?と誘って頂いた。ネト充万歳である。
最新Macbookを支給してもらって、論文や専門書参照し放題の環境で、気の合うおもしろい仲間と働けて、バイト時間は融通効くし、自身の研究にもプラスとなるであろう経験を積ませて貰える(後述)上、収入も入る。一石五鳥くらいの気分だ。
実は坊農さんはマネジメント能力が半端ない説
ところで、今日気づいたことが一つある。どうやら坊農さんは、自身のやっていることやタスク内容を説明する時、相手の裁量/能力を制限する言葉をほとんど使っていないのである。知識Lvやスキルに応じて説明をかみ砕くことが上手で、タスクをこなすに当たってほとんど全ての手段が許容されているように思った。
自由意志を尊重されていることを意識した途端、思考と行動における自己の影響の輪が、自分自身で認識していたものよりもずっと大きいことに気付く、というのは一般的な反応なのだろうか。
枠がなければ人は創造性の筋肉を動かし、自分の役割を自分で作り出す。準備が100%整っていたら創造性は必要でなくなり、ボランティアの意欲も薄れていただろう。
(p.240, マイクロソフトでは出会えなかった天職 僕はこうして社会起業家になった)
つくばの変態達は(おそらくは僕を含めて)とてもアクの強いメンツ*3なので、DBCLSが崩壊しないか心配だ。...とか思っていたが、今日の話を聞いていて、逆に、アクが強いメンツのおいしい所をうまく使っていることが分かった。個々人の「強い部分」や「見ている景色」を見抜き、何を話すべきかを見極めて、最適な役割を割り振っているような気がしてならない。
ここからベンチャー企業の個性と強みを活かした組織運営のヒントが得られたりしないかな...などと帰り道に考えたので、それを片隅に置きつつまとめてみると
- 先入観なしに*4いろいろな人を集める。そして
- それぞれのメンバーに対して、
- 得意分野を活かし、
- 貢献したいというモチベーション付けをする。
これらが、柔軟な組織を形成する上で重要なファクターなのではないか?これだけ見ると"言うは易し"な感じだが、今日の僕は実例を見てしまった。小難しいことを考えるのが好きな僕は今日の話を聞いて、ドラッカーのマネジメント理論を思い出した。また他に、少々関連は薄そうだが、堺屋太一が組織の共同体化は衰退への道であると組織の盛衰―何が企業の命運を決めるのか (PHP文庫)の中で警告した、その全く反対のイメージを持った。
以下具体的に考えていく。
メンバーを引きつける、ということ。
id:syou6162は最近自分のやりたいことが見えてきたという趣旨のエントリを書いており、その中で"自然言語処理"に興味を持っている旨が記されている。
DBCLSはAllie: Abbreviation / Long Form Search in Life Sciences Top などで自然言語処理を扱っており、そして、これは間接的に聞いたことだが、彼の行きたい研究室とDBCLSの間にはコネクションがあるらしい。そんなこんなでsyouはsyouのもっともやりたいことへの道標をDBCLSに見い出し、毎週働きに来ることを決めた...という流れ。
斯く言う僕も、研究テーマに合わせて、立体構造系のツールをわかりやすく解説する統合TVの動画を作成することになった。うまい具合に、ただ研究室の慣例に習って研究するだけでは手を出さない領域に関わることが出来る。勉強になり、研究に関する視野を深めると同時に広めることが出来る。去年、坊農さんは僕の研究手法に対して
「ニュートン力学しか考慮していない。せめてフロンティア軌道くらいは考慮して欲しい」「前提条件から崩れるかもしれないものをやってどうするの」「実験と一致するよ、としか言えない」
ライフサイエンス統合DBプロジェクトの中に乗り込んできた - ミームの死骸を待ちながら
と問題提起をしてくれた。
また、今日見学に来ていたid:reposeに対しては、クラスタリングやデータマイニング等の技術がバイオにいかに役立っているか、という切り口から説明*5していたようだった。
というように、相手によって話の内容を選んでいるのだなと分かった。そして様々な相手に別々の切り口で語れるということは、ストライクゾーンが恐ろしく広い。この懐の深さが変態達を引きつけて止まないのだろうか。
拡散気質と"ファシリテーター"、理解者について
そしてバイトの後、センター総出(たぶん)の歓迎会の席で嬉しいことを言われた。必要以上に仕事の責任を意識していた僕に、このバイトそのものよりも、僕がこの場に来ることによる双方へのメリットを強調され、僕の拡散気質を活かすことを推奨された(と僕は解釈した)。以下中二注意。
僕が向いている役割は、無理矢理名付けるならスペシャリストでもゼネラリストでもなく、
"ファシリテーター"
かなと思っている。"ハブ"と言えるかもしれないその役割は、自身が専門性・知的労働者としての能力を保有するのではなく、"つながり"を武器として使う。適切な問題に適切な才能を結びつけ、各員の能力を最大限に活かす。
ファシリテーターとなるためにはいろいろな世界に顔を出し、そこに存在する人と物事をIndexingする必要がある。しかし、"ちらっと顔を出された"世界側の人にしてみれば
「なんだあいつは、俺達は本気でやっているのに中途半端に関わりやがって」
という印象を持つのも当然で、僕はこうして人間関係をこじらせることが今まで良くあった。まさにこの点をうまくくぐり抜けている先人がKGC代表の柴田さんなので、もっと学ぶ必要がある、と思っていた。
僕は、自分自身の経験から導かれた本能的な志向/適性や、共感を覚える先輩世代との交流から、この方向性を伸ばせばもっともリターンが大きいらしいことをここ半年で自覚し始めていた。それを坊農さんにはばっちり見抜かれていた。
「相手の世界を侮辱しかねない」僕の気質の攻撃性を全無視するのもそれはそれで問題だが、少なくとも理解してくれ、「こうしろ」ではなく「今のままでいい」と言ってくれる先輩がいるだけで、ここまで気が楽になるものか。
今まで、何か話しやすいなぁ、と思っていた原因がなんとなく分かった気がする。
後記。
Tsukuba.R#4でDBCLSに関わったことがきっかけ(たぶん)でid:reposeとid:mickey24も一ヶ月後からの参戦が予定されている。変態三銃士の衝撃も収まらぬ近い将来に変態五人囃子の完成が目されており、どこかの人工衛星よりも切実に世界の秩序が危ぶまれる。