現在の僕の基盤を形成したECナビ理系インターンのススメというか思ひ出
僕が大きな影響を受けていながらこのブログで前面に出して語られていないものの一つに、学部3年時に参加した、ECナビ理系インターンがある。今となって振り返ってみると、このインターンが僕の転機かつ基盤になった経験なのだろうな、と思う。
今回記事書くに当たって調べたらなんかかっこいいページ があるんですけどなにこれ!!!
株式会社VOYAGE GROUP - ページが見つかりませんでした
「過去の冒険者」に出てくる右奥のイケメンがインターン同期ですね。今では彼も社員さん*1。僕が参加した2006年度は初代も初代、そもそもTREASUREという名前*2はなく、想像力発掘インターン、という触れ込みであった。社員さんも初の開発系インターンということで、お互いの手探り感がとても楽しかったのを覚えている。
壁一面はホワイトボード。それまでまともにCUIを使ったことがなかった僕はLinux(Cent OS)を割り当てられ、1ヶ月間、優秀な他の参加者に追いつくべく、そして納得のいくものを作るべく、"Socrates"という名の付いた部屋に缶詰状態で死にもの狂いにプログラムを書いていた。
東京大学総合サイト all-todai - 理系 インターン体験談 ECナビ
左端が20歳の頃の僕ですね。若いですね!わかりませんか?そうですか。。
上の記事中に僕らの代の参加者のコメントが載ってます。ついでに言うとこのブログは元々インターン中のRuby on Rails勉強メモとして始めたので、もしこのインターンに参加しなければ、ミームの死骸も誕生しなかったかもしれません。死骸が誕生とか新しい。
なんで3年も前のことを書いているかというと、実は先日渋谷でインターン同期+社員さんの飲み会が開催されてとても懐かしい気持ちになった。同期4人、キャラは相変わらずなんだけど、みんなちゃんと成長しておる。いいなあこーゆーの。
これは一度ECナビ&社員さんへの感謝の意味も込めて経験をブログにまとめておくべきだなと思ったので、すこし書いてみる。
こんてんつ
- きっかけはミーハー精神
- 最も劣っていることが明らかだったのでやるしかなかった
- そのインターンシップランキングどうなのという余談
- さらに脱線 - ワークスについて
- 戦利品。
- 次に活かす。
- 振り返って気がついた。
きっかけはミーハー精神
「インターン?」
当時僕はその言葉を知らず、びじねすびじねすした活動に積極的に関わっていたとある友人からその単語を教えてもらった。ふむ、いまのところ院に進学するつもりだけど、B3という立場を活かして就活もどきをやってみるのも悪くない。そう考えた僕はサマーインターンの募集情報を漁り始めた。
当時はmixiの最盛期で"Ajax"が流行り、"Web2.0"がもてはやされていた時代。id:umedamochio氏が『ウェブ進化論』で語った内容に無知ながらに感化され「なんかいんたーねっつとかすごくね!?」という単純なミーハー思考で「1ヶ月でWebアプリケーションを作る」というECナビのインターンに応募したのだった。
価格比較サイト運営を手がけるECナビは6月16日、大学生や大学院生を対象に、ウェブアプリケーション開発の基礎を学べるインターンシッププログラム「創造力発掘インターンシップ 〜Ruby onRailsプログラミング講座〜」を実施すると発表した。8月21日から1カ月弱の研修を通じて優秀な人材を発掘し、同社の研究組織「ECナビラボ」の職員増強を目指す。募集人数は5〜6人程度としている。
ECナビラボでは学生向けに、プログラミング言語「Ruby」を用いたウェブアプリケーションの開発フレームワーク「Ruby on Rails」に関する講義と実習を行う。論理思考にもとづく設計能力、コーディング能力、情報収集能力に加え、品質とコストのバランスセンスなど「学校では学べないモノづくりの本質を身に付けられる」(同社)という。
成績優秀者については、3〜5年間、ECナビの入社試験を免除する。また特に優秀な学生は、研修後にECナビラボのアルバイトとして雇い、米国の情報サービス/機器関連イベント「Emerging Technology Conference(ETech)」などに、ECナビラボの職員とともに参加するよう促す。
ECナビ、自社の研究組織「ECナビラボ」で、学生のインターンシッププログラムを開始 - CNET Japan
いろいろと自分なりに情報を集めた僕は、当時から有名だった「ワークスアプリケーションズ」のインターン の存在も認識し、同時に応募していた。が、日当が11000円でワークスより1000円高い!という絶妙な金額に釣られたという不純な動機も少なからずあったりなかったりで、結局ワークスの選考を途中でやめて、3年生の夏はECナビ理系インターンに参加することにしたのだった。
そもそも合格する人数からして「5人程度」とのことで、本格的にプログラムを組んだことがないバイオ畑の人間が通るとは思っていなかったし、実際ふたを開けてみれば選考通過6人中で情報系ではない学生は僕だけだった。こんなのを拾って機会を与えてくれた社員さんにはいくら感謝しても足りない。
時は少し飛んで、選考の数日前。部活の友人たちと遊んだとき「ECナビって会社のインターンに応募してるよ」という話になった。そこで「えっ俺も」という友人がいた。情報系のTである。なんと彼も同じインターンに応募し、ESと筆記に通過して次の面接が同じ日だということが判明した。
おいおい通過すんの5人だろ?ばっちり情報系のこいつに勝てる気しないな...などと考えてやきもきしていたのだが2人とも選考に通るとは思いもよらなかった。そして、まさか彼がエースとなり修了時にSランク評価を受けているなどとは、想像することが不可能なほど、遠いところまで連れて行かれたインターンでもあった。
ちなみに僕はB評価であった。びみょ。
最も劣っていることが明らかだったのでやるしかなかった
インターン開始当初、夜は早めにかえって道場に行くかー、などと思っていたが、すぐにそれが間違いだったことに気がついた。
「じゃあRubyでクイックソートを」
「あのすいません...ソートって何ですか」
他の5人が情報系の中、僕一人がこのレベルである。経験も能力も劣っているならば時間をつぎ込むしかない。死にものぐるいで追いつこうとした。1ヶ月間ほとんど生活の全てを費やして勉強していた記憶がある。
結果、なんとかRuby on Railsを使って独自のWeb Applicationを作ることができた*3。Flickr APIを使ってオセロのような盤上に画像を読み込んできて、画像を繰り返しクリックすることでイメージにつけられたタグをたどって様々な画像が現れるという、まぁ、見せ方の変わった半手動スライドショーみたいなものを作った。当初思い描いていたものを実装するにはFLASHが必要だったりすることに途中で気がつき、だいぶ劣化してしまったんだけど、(当時流行の)SNS系に落ち着くことも既存のサービスを真似することもなく、自分なりの考えを形にできたことには個人的に満足している。
人間、やればできるもんだ。
- インターンについての、3年前の宇佐美社長の記事なんかを貼ってみる。
そのインターンシップランキングどうなのという余談
ちょっと横道にそれて。インターンシップランキングの話が先日の飲み会で出た。JobWebの。富士通とかワークスが上位3社にランクされてるけど馬鹿馬鹿しい。これは単に言った人数が多いだけの話であって、三社行った経験から言うと雲泥の差である。
【11卒調査】参加して良かった!後輩にオススメしたいインターンシップランキング - 新卒採用メディアのジョブウェブ
これは募集人数で重み付け評価したり、開催期間で分けて集計したり*4するといい感じになるんじゃないかな、ということを話していた。
さらに脱線 - ワークスについて
先ほどECナビのインターンに参加するためワークスを辞退したと言ったが、実はその半年後のB3春(4年になる前の春休み)には、ワークスのインターンにもちゃっかり参加して来たのであった。
そしてぶっちゃけると、僕はワークスでのインターン経験にあまり価値をおいていない。バイト感覚で来ている学生があまりにも多いし、選考はザル...というか流石にもう大人数を通しすぎているし、有名になりすぎている。きっとこの制度が始まった当初は、革新的ですばらしいインターンだったのだろう。
そして何より、ヌルい。18時に帰れてしまうし、アイディアとプレゼンテーションを重視するのでコードを大して書かなくても良い。内定パスを取得した人(僕を含め)のアウトプットを見ても「えっ...」というものが多い(はい今偉そうなこと言ったよ)。だから「IT企業のインターンに参加してプログラミングしてました!」と言ってワークスインターンを挙げる人は、むしろITに疎いことを自ら露呈している、と僕は考えている。
...などとえらい言いようだけど、ワークスはひとつの"極論型"として学ぶべき所は多い会社だと(個人的に)思っている。異様な採用制度もさることながら、"洗脳"に近いほど強烈なビジョンの共有、新人に惜しげもなく大きな仕事を任せる(らしい)姿勢、オリジナルな育児支援制度の導入...etc。
戦利品。
結果はびみょーかもしれないし、絶対的なアウトプットの価値というよりは「門外漢がよくここまでやったものだ」という評価だったのかもしれないが、この経験から僕はいろいろなものを得ることができ、同時に深く一つの会社に関わることで、自分の中に存在するいくつかの傾向にも気がついた。
- "3年間いつでも手を挙げれば入社できますよ権"
- 就活の選考で語れるユニークなネタ*5
- 具体的なプログラミングの技術
- 大したものではないが、研究でちょっとしたテキスト処理や作業の自動化にRubyを使っている
- 「やったことがない」と「ある」では大違い
- 社員さんとの信頼関係&一緒に徹夜した戦友
- お給料で購入したiBook G4*6
- 自分は小さな会社で働く方が向いている、という発見
- ベンチャーの手探り感が好き
- 何かひとつ作り上げた時の達成感と、それによる自信
- やればできる
- ただし本気になるまでのハードルがかなり高いあたりがダメだ。無駄を経験しないと見えてこないものがあると知りつつも、"本当に押さえるべき所"を特定し、最小限の努力で物事をこなそうとする癖がある
...などなど。後半の「自分の傾向」は、今となって振り返ると当時からうすうす気がついていたなという程度のものなので、3年前からはっきりした傾向が見えていたわけでは決してない。
次に活かす。
この経験は次に繋げたいと考えている。次。来年、うちの会社でもやってみるのはどうだろう?来年の夏に僕が日本にいるかどうか怪しいという噂もあるが、まぁそこは優秀な同期がなんとか回してくれるだろう(無茶振り)。
ちなみにRuby on Railsをテーマとしたのは2006年の一回のみで、それ以降はPHPを題材としていたり、個人戦ではなくチーム戦になったりと、インターン制度自体も変化している。人事のGさん曰く、チームの人数を変えて試行錯誤してみたところ"3人"が最もうまくいく、という結論に達したそうだ。4人以上になるとチームの中で分業体制が敷かれてしまい、全体像を把握できないままの人が出てくるらしい。
僕も"3人"という人数の力は以前早朝勉強会の記事でも触れたことがある。来年から入社する内定先の同期が"3人"というのは、実にうまいバランスだと思っている。2人じゃだめだ。なお僕は3人兄弟の長男であり...関係ありませんか。そうですか。。
振り返って気がついた。
最初のものごとは、記憶に残る。記録に残る。生命力と繁殖力の強いミームを残すことができる。
前例がなければ、縛りはない。固定概念に捕らわれようがない。成功に定義がない代わり、失敗の定義もない。そこから得たものをそのまま純粋に手に取ることができる。
このインターンを経験しなければ、ベンチャーに新卒第一期で入社するという選択肢にたどり着かなかっただろうと思う。前例がないから最終的には自分自身で考えるほかなく、責任はすべて自分にある。そして行動を選択できるだけの十分な自由がある。目標を達成できなきゃそれはつまり努力が足りないわけだが、達成したときは本当にうれしい。あの感覚がどうしようもなく好きだった。いや今も変わらず好きで、だからこそ現在の自分がある。
表面はゆらぎつつも、最後まで変わらぬ軸として、未だ存在している。たまに見失うけど。
やはり「異例」「最初」という価値観は、僕にとって貴重なものだ。自己評価の低い僕ではあるが、この価値観に基づいて達成してきた過去には(所詮は過去なのだけど)それなりの価値を認めている。
母校から10数年ぶりにこの大学へ進学した生徒であるということ、ナビの初代インターン生として社員さんと手探り状態で進めた経験、wet系ラボにdryを導入したこと、10数人のベンチャーに新卒第一期として入社すること。
すべては繋がっている。Connecting the Dotsとはよく言ったもので、後から見ると、ひとつの軸に基づいて事実が積み上げられて今に至っている。どうやら僕はちゃんと生きて来たらしい。