ミームの死骸を待ちながら

We are built as gene machines and cultured as meme machines, but we have the power to turn against our creators. We, alone on earth, can rebel against the tyranny of the selfish replicators. - Richard Dawkins "Selfish Gene"

We are built as gene machines and cultured as meme machines, but we have the power to turn against our creators.
We, alone on earth, can rebel against the tyranny of the selfish replicators.
- Richard Dawkins "Selfish Gene"

テクニックとしての20分間耐久筆記とその効用


前回、えむけーつーさんの記事 をきっかけに20分間筆記 をやった。結果としてみて見るとなんとも思考がばらばらで、一つの物事を集中して考えられない性格を露にするだけに終わった感がある。でもまあ楽しかった。僕は文章を読まなかったり書かなかったりすると死ぬ人間なので楽しめた。いや水を得たというべきか。
しかし体験を通じて、これは案外使えるのではないか、という感触を掴んだ。その感触を言語化して、ここにまとめてみる。ひょっとしたらえむけーつーさん初め、企画に乗って来た人の中には僕などが横からライフハック的な切り口で語ることをあまり好ましく思わないかもしれないのだけど。もし気分を害したら申し訳ない。


こんてんつ

  • 偶然ながらも20分耐久筆記が持っていたさまざまなめりっと
    • ブログとの相性
    • 20分という時間のバランス感
  • 脳味噌の内部をぶちまける
    • 自分の脳味噌
    • 「エンジン始動」のための20分筆記
    • 他人の脳味噌
  • ひとつの時間制限にして文章をまとめる

偶然ながらも20分耐久筆記が持っていたさまざまなめりっと

ブログとの相性

140字程度の短い断片でもなく、長々とした論理もいらない。20分でさくっとかける文章の量は、人によって幅はあるものの、だいたい1000字-3000字となろうか。この量はブログ記事として無難なレベルで、それゆえあれほど多くのトラバが集まった側面もある、と思っている。

20分という時間のバランス感

id:nakamurabashiさんも後記で言及されていたように、20分という時間はひとまとまりの文章を創りだすのにとてもいい時間(偶然とはいえ)だと思う。30分では少々長すぎるし、5分、10分では"文章"としては少し物足りない。「ちょっとやってみるか」という気にさせる、ハードルの低い時間でもある。


脳味噌の内部をぶちまける

テクニックとして20分筆記を見た時、大きく分けて二つの使い方があるように思う。
まず一つは、手の赴くままに、脳味噌の内部をぶちまける使い方だ。

自分の脳味噌

まずは自分の脳味噌をぶちまけることに関して。思いついた事を手が動くに任せてがんがん書いてみる。自分の思考パターン、その時の関心事を可視化する
GTDの手順の一つに、ノートにとにかく思いつくままに「気がかり」を書き出す、というものがあるけど、だいたい似たようなものだろう。GTD本は↓の1冊でだいたいOKだと思う。大して習慣付けできてない僕が言うのもなんだけど。

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単純に文章を吐き出すのが楽しい、というのもあるけど、個人的に言えば自分自身の物書きのパターンが分かった事も大きかった。僕の文章に関して気付いたことは以下の通り。

  • 思考拡散しすぎ
    • ひとつのことを集中して考えられないんじゃないかこいつ
  • 説明を後から継ぎ足したり、 途中で思いついた話題に脱線したりという、なんともややこしい書き方をしている。
    • とてもそのまま文章に出来るような(翻って言えば、論理的に滔々と話せるような)思考を行っていない事が分かる。
  • 「あれ」という指示語が多く出て来た。
    • 咄嗟に正しい名称が出てこないのは痴呆だろうか。おいおいまだ23歳ですよ。
  • うまい修飾語や例示がパッと出てこない。文学的素養というか、センスがないのがまるわかりだ。
    • この間の17歳の記事 は自分で結構気に入ってるんだけど難産だった。まぁ、それによって、時間をかければかけるほど納得のいく文章が出来上がるという傾向がわかったのだけど。


これらは、特徴であるとともに弱点でもある。いやどっちかっつーと全部弱点だ。このへん補強すればもう少し文章がうまくなれそうだ、と前向きに考える。うまくなるというか、スムーズに自分で納得のいく書き方が出来る習慣付けかな。


「エンジン始動」のための20分筆記

「文章を書く」時間として見たときの20分は、 ちょうど頭が熱くなって来た頃にタイムリミットとなってしまう。こいつを逆利用して、「エンジン始動」のために使うのもアリだなと思った。方法は簡単で、

  • いまから仕事に取りかかる
  • ちょっと面倒な作業に取りかかる必要がある
  • ぐだぐだしてやる気がでない

そんな時、テーマに関する文章を20分という制限時間の中で一気呵成に書いてやる。頭が暖まって、本格的に取りかかる状態に入る事が出来る。何事も没頭するまでが一番難しいから、文章を書くのが好きな人は「エンジン」をかけるために20分筆記を使うと幸せになれるかもしれない。ここには晒さないけどこれを研究テーマでやってみて効果を感じた。すこし幸せになれた。


他人の脳味噌(チーム編)


また、今回のトラバ企画*1は特にそれが顕著であったが、20分思いつくままに書いた文章を見る事で、他人の思考パターンを知る事が出来るのも結構楽しい。
この「他人の思考を知る」という特徴は、ひょっとしたら、チームビルディング?のようなものに使えるかもしれないと思った。チームを組んでさて一緒に仕事しましょう、という時に、仕事内容に関するエッセイを20分でパチパチ打って、皆で読み合わせてみる
あまりトークが得意とは言えない僕の予想を言えば、いきなり会議で意見を戦わせるよりも、先に自分の脳内を見える化して他人に見てもらっていた方がその後がスムーズじゃないかと思う。このへんは掘り下げないでおくけど。


ひとつの時間制限にして文章をまとめる

テクニックとしての20分筆記、その使い方のもう一方は、明示的に執筆時間に制限を設け、目安とする事だ。
実は今回のエントリも20分で時間を区切って書いてみた。結論から言えば60分ほどかかってるんだけど*2。内訳は、

  • 20分でとりあえずの骨格と肉付けの大部分を終えてしまう。
  • 30分で説明を追加/削除し、体裁を整える。うろ覚えな言葉や情報を外部記憶装置Google先生の力を使って正確なものに置き換えたり、より適切な言葉を探す。
    • 最後に目次をまとめたり、注記でいいなと思う部分は注記に放り込んだり。
  • 5分でブログにアップしてリンクを追加したりフォントをいじったり。


ちなみに最初の20分、前回の自動筆記とは違って頭から順番に書いていない。全体でなんとなく書きたい事を想定した後は、思いつくままに吐き出す。書いているうちに「あ、こういうことも言えるな」とか「この切り口の方がわかりやすいな」と思う事がある。それをリアルタイムで反映しながら書く。


そもそも僕は、内容のある記事を書くスピードは決して速くなく、長文エントリをまとめるのに少なくとも3,4時間はかかる。以前id:aurelianoさんとお会いした際に1つのブログ記事をまとめるために使う時間はだいたい1時間程度だと聞いて、なんちゅう速さだ、とびっくりしたものだ。僕はとてもその速度で自分の納得がいく文章を拵えることはできそうにない。

そんな性格、執筆スタイルだからこそ、文章を練りに練りたい性格だからこそ、時間制限はとても有効に働く。最近一つ一つのエントリを練りたい傾向が強まっているから、時間制限を意識するくらいでちょうどいいバランスになる。


ちょっと脱線するけど、ふろむだ先生(id:fromdusktildawn)のエントリは毎回毎回すごいですね。今回 も壮大だし、特に花粉症記事 なんてもうレポートになるんじゃないかと思えるクオリティと分量だった。あまりに分量が多く密度が高すぎて*3「水増しや情報の追加で一冊の本にまとめられるんじゃないか」とまで考えてしまったほどだ。いったいどれくらいかけて書いてるんだろ?今度FSNSで聞いてみようか


いじょ

こんなところか。昔から分かっている事ではあるが、僕は、文章を読む事と書く事、それを通じて人の考えに触れる事が非常に好きであるようだ。好きな事しかできない厄介な性格。だからこそ好きな事に"テクニック"を織り交ぜて、使える"スキル"に昇華する。「楽しいだけ」を超えてブログを役立たせるにはいい目標かも。以上!

*1:企画というか、えむけーつーさんはそもそも他の人に乗ってもらう気はまったくなかったみたいだけど

*2:後述するが僕としてはかなり高速化された

*3:あ、書いてから気付いたけど密度はそれほどでもないかもしれない。主張を印象に残すためか、同じことを違う言い方で繰り返し繰り返し書いている記事が多い