お金は銀行に預けるな!と組み合わせて読むべき橘玲シリーズ
勝間和代さんのお金は銀行に預けるな 金融リテラシーの基本と実践 (光文社新書)はすばらしい本だと思う。タイトルで釣っておいて(失礼)、中身はきわめて現実的な「銀行に預けるべきではない理由と、代替資産運用方法」を基礎からわかりやすく解説している。
特にすごいと思ったのは、第三章まるまるを「実践」に割いており、投資の基本原則と、金融知識を身につけるためのToDoをステップごとに示している点だ。
たぶん勝間さんも語り足りないんだろうけど、この本を読んで僕はなんとなくもどかしかった。
なぜか?それは、概観に徹しているため具体的に行動を起こそうとしたとき、「実践」章の内容ではすぐに手が動かないところだ*1。新書サイズではこの情報量が限界(そして適量でもある)だろう。
そのもどかしさを解消してくれるのが、お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方 ― 知的人生設計入門の著者でもある橘玲氏の近著3冊。
ところで脇道にそれるが、今までの読書経験から、同ジャンルの本の組み合わせが優れていると感じる場合には、以下のような特徴がある。
- 組み合わせとして、カバーする情報の範囲が広い
- A∪Bが広い。
- A∩Bは狭すぎるとうまく脳内で情報がつながらないが、広すぎると読んだ意味がない
- 同じ情報を異なる切り口で解釈・説明している
とくに、
- 情報が相補的
- 切り口が相補的
である組み合わせは読んでて頭にしみこむ感じがする。同じ著者が同じようなことについて書いた本は、たいてい、どちらか一冊で事足りる。
さて、お金は銀行に預けるな 金融リテラシーの基本と実践 (光文社新書)との食い合わせがいいのは以下の三冊(というかシリーズ)。
一冊目: 黄金の扉を開ける賢者の海外投資術
内容は以下の通り
理論というか、物語的に「投資の歴史」から「新しい投資」まで、広く、さまざまな情報をさらりと紹介する。この「さらり」が橘玲本の特徴なのだが、これが勝間さんの文体とはまったく逆で、同じことを記述している箇所を読み比べるととても面白い(相補性)。
お金は銀行に預けるな 金融リテラシーの基本と実践 (光文社新書)による理論、黄金の扉を開ける賢者の海外投資術によるストーリーが頭に入ったので、次に実践に移る。
二冊目: 究極の資産運用編(金本)
内容は以下の通り
海外投資が必要、分散投資が必要。ファンドとか国債、コモディティやデリバティブを組み合わせるといいらしい。そこまでわかった人の「具体的にどんなのがあってどこで買えるねん」という疑問に答えてくれる金本。
ETF1080本が壮観。この本の注意点としては、どんどん「実際に使う」情報が出てくるので自分の立ち位置を見失いがちなところ。勝間さんの本を脇において、たまに "全国地図" を見ながら進めると、情報が適切な場所にストンと入っていくような気がした。