ミームの死骸を待ちながら

We are built as gene machines and cultured as meme machines, but we have the power to turn against our creators. We, alone on earth, can rebel against the tyranny of the selfish replicators. - Richard Dawkins "Selfish Gene"

We are built as gene machines and cultured as meme machines, but we have the power to turn against our creators.
We, alone on earth, can rebel against the tyranny of the selfish replicators.
- Richard Dawkins "Selfish Gene"

金融工学のサワリとして

金融工学で金儲けはできない。この学問は無駄な損失を回避し、リスクを管理する術を提供するものだからだ。
効率市場、リスクの定量化などを説明し、先物やオプションといったデリバティブに触れている。概念を説明するだけではなく、簡単な数値例と共に説明されるので比較的理解し易い。ブラック=ショールズの式周りの事情は興味深く読めた。

ただ残念なことに、「読み物」と「教科書」をうまくないバランスで配合したような本になってしまっている。さらっと流し読みするには深く突っ込みすぎていて、本当に金融工学を学びたい人にとっては物足りない。投資に応用するにも、ちょっと不足。

科学と感性の架け橋

本書は、現代科学の体系に疑問を持っていた小林秀雄氏についての章から始まる。科学はその成り立ちからして「計量可能なもの」のみを扱うものであり、数値化できない「ビミョー」な感じについては、(それは確かに存在するにも関わらず)切り捨てられている。その感覚を、茂木さんは「クオリア」と表現する。
仮想をテーマに展開する論旨は、論理よりも感性に訴え、心の志向性、現実と仮想の行き来、他者という仮想などを扱う。
科学と感性をつなぐ良書だ。
先日軽く読んだ小説も含めて、のこり49冊。