ブロガーのための文章作成心得+なぜ「文章力がある」と言われるのかを分析
デジタルフロンティアというグループで、「ブログリレー」のようなものをやっている。さかずきさんから、『ブログを書くときに気をつけていること』というお題でバトンが回ってきた。
「就職活動時に使えるウェブサービスについて」| 【就職ナビを使わない就職活動】
ちなみにさかずきさんは就活界隈ではかなりの有名人。最近ブログをリニューアルしたとのことでリンク先にはあまり記事がないけど、ブロガーとしては古参&かなり人気があるようです。就活生は要チェック。
中の人にも3,4回直接お会いしたけど(結構会ってるな...)、落ち着いた感じ&知識も豊富で、勝手に親しみを感じるなどしている*1。
そんなさかずきさんのブログに最近「死骸」とかいう悪趣味なワードが。
なんてこったい\(^O^)/
こんてんつ
- 『発信力』に学ぶ、ブロガーの心得
- 「書こう」とすることで感度が高まる
- 自分を棚に上げろ!!ネガコメにビビるな!!
- 小論文からはじまる文章特訓
- 僕は何を考えて文章を組み立てているのか
- Rhythm, Logic, and Meme.
『発信力』に学ぶ、ブロガーの心得
今日のテーマにちょうど良いので、まず「あるべき文章の書き方」という視点で紹介したい本がある。
- 作者: 樋口裕一
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2007/02
- メディア: 新書
- 購入: 7人 クリック: 88回
- この商品を含むブログ (32件) を見る
「発信力」。まなめさんが絶賛していたので買って読んでみた。
ブロガーにはぜひ読んでほしい本である。素晴らしい本には二種類あって、書かれている内容が素晴らしい本と、書かれている内容について考える価値が十分にある本と分けるならこれは後者。半分くらいはすごい納得できたけれど、2〜3割はトンデモな内容だなぁと思いながらも、全部が全部ほってんとりに入るクオリティの内容。
@nifty:@homepage:エラー
確かに良書で、著者としては決してブログに全面賛成というスタンスではないものの、ブログにあてはめて見てみると、いろいろ思うところがあった。ので、僕のアンテナにひっかかった部分を書いてみよう。
「書こう」とすることで感度が高まる
何かの情報に接するとき、書こうという意志がないと通り過ぎていく。ところが、それについて何かを書こうという意識があれば、その情報が身に入る。それを利用して何かを書こうとする。盗んでやろうと思ったり、それをヒントにして自分なりに考えたりする。そうするうちに、知識として身についていく。思考力もつく。他人に伝えたい気持ちも高まってくる。
(p.69: 発信力 頭のいい人のサバイバル術 (文春新書))
これはブログを書き始めてから実感していることで、ネタを日常に探すようになる。というかすべての日常がネタと化す。他人に公開するためには自分の解釈を入れなければならない(と僕は思っている)ので、Factに自分の解釈を付けるクセがつく。これ、とてもいいことだと思う。
加えて僕は口下手なので、「書こう」と考え、さらに実際に「書く」ことで、「喋り」の下地ができるという点もでかい。あらかじめ自分の考えを文章に落としておくことでリアルでも話しやすくなるのだ。
自分を棚に上げろ!!ネガコメにビビるな!!
人を批判するとき、自分のことは棚に上げるのが原則だ。そうしないと、ほとんどの人が何も批判できない。
それに、もし自分がどうであるかによって他人を批判できたりできなかったりすると、むしろ他人を批判するということは、その人よりも自分のほうが優れていると判断していることになってしまう。
(p.96: 発信力 頭のいい人のサバイバル術 (文春新書))
みんなにウケようと思ったら、当たり障りのないものになってしまう。本当に個性的で、これからの時代を作るようなものであれば、反対する人間も多いはずだ。理解してくれない人間も多いはずだ。だが、そのような人々を気にしていたら、いつまでもしっかりした発信が出来ない。
(p.128: 発信力 頭のいい人のサバイバル術 (文春新書))
「好きなこと書いてもいい」これに尽きる。周囲を気にせず好きなことを書いていればいいし、人を批判するときは人格ではなく論理を批判する。
あったりまえの話だけど、反応が増えてくるとどうしても批判的な内容が混ざる。特にはてなには気持ち悪い文化があって、時にその気持ち悪さが発信者に牙を剥くことがある...まぁ要するにネガコメですが、なぜか彼らは人格攻撃が大好きなのだ。口を開けばメンヘルメンヘル言ってるブコメ職人とか。
で、そんなの相手にしてたら魅力的な発信が出来ませんよ、と。
僕は、ブロガーとはまったく関係ないのだが、リチャード・ドーキンスは作家としてはこの罠にはまってしまった一人だと思っている。彼の処女作利己的な遺伝子 <増補新装版>は、ガンガンレトリックを使って、生命と遺伝子の関係に新しい光を差し込む刺激的な内容だった。
しかしそれでずいぶん叩かれたドーキンスは、以後、病的なまでに言葉の使い方に気を遣い、注釈的な事前防衛が盛り込まれるようになってしまったのだ。
この神経質なまでの「防御」によって、彼の文章は魅力を減じたと言わざるを得ない。
小論文からはじまる文章特訓
著者の樋口さんは小論文の添削をされていることもあり、命題について立場を明確にして論理的に説得する「小論文」を発信力の練習台として薦めている。
論理的な文書を書こうとすれば、まずある命題が正しいかどうか、そうするべきかどうかという問題を立てることだ。そして、常にそのように書く練習をする。もちろん、ある程度できるようになったら、もう少し自由に書いてもいい。しかし、とりわけ初心者のうちは、常にイエスかノーかについて考えると、書きやすくなる。
(p.158: 発信力 頭のいい人のサバイバル術 (文春新書))
ブログを書くときも同じことが言える。もっとも簡単なエッセイ的ブログの作り方は
- テーマを決定する
- それについて立場を表明する
- 論拠を示す
- 結論を述べる
というスタンダードな流れに乗ることだろう。芸風(?)もいろいろあるので一概には言えないものの、かっちりした「文章力」を鍛えることをブログの目的の一つとしているなら、週一くらいペースで練習してみてもいいのかもしれない。
id:Hashは何を考えて文章を組み立てているのか
僕はたまに「文章力がある」と言われることがある。本人としてはそんな馬鹿なと思いつつ*2も、もし自分の文章が一定数の読者から「良い文章」という評価を得ているのならば、その原因は僕のスタンスの中に求められるだろうか?ということを考えた。
僕は何を考えて文章を書いているのか?
基本的に自己分析は好きなので無意識のプロセスをほじくり出してみたところ、次の三つに集約されることがわかった。内容は度外視して、単純に文章作成という視点で見たものだ。僕はこれらを意識しつつ文章を組み立てているように思う。
- Rhythm: 読んでいて気持ちの良い文章
- Logic: 自然なつながりで断片を繋ぐ、あるいは崩す
- Meme: 心に残るフレーズ、その場の結論
もう結構な分量になってるし、ざっくり書いてく。
Rhythm: 読んでいて気持ちの良い文章
長文を読む/書くのが好きなこともあって、リズムよく読める書き方をしたいと思っている。
「A, B, そしてCだ」とか「AでもなくBでもなく、ましてやCでもない」とか、変に気取った言い方をする時はたぶん真夜中のラブレター状態で書いてるので、生暖かくスルーしてください。要は、そのときの気分で「おっ、いいリズム」と思った言葉の流れを重視している。また、体言止めを多用したりもする。対語関係を入れてみたり、修飾語を重ねてみたりもする。最近は見出しを入れるタイミングを試行錯誤中。
僕の目から見てリズムの取り方がすばらしいのがid:iNutのブログ、handmade yellowだと思ってる。以前魅力的な文章を書く人がいる。 - ミームの死骸を待ちながら で紹介しましたね。
あと、僕が、たま〜にわざとらしく一文を長くしたくなるのは、ラグナロクシリーズが好きだった(とくに1-6巻まで)ことが原因かもしれない。このシリーズの息もつかぬ戦闘シーン、たとえばテュール・ヴァイス*3戦の勢いに影響されている気がする。
- 作者: 安井健太郎,TASA
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 1999/09
- メディア: 文庫
- クリック: 3回
- この商品を含むブログ (6件) を見る
どうでもいいけどこのシリーズちゃんと完結するの?
Logic: 自然なつながりで断片を繋ぐ、あるいは崩す
Logicというとそれこそ論理的に、小論文のように一本筋の通ったエントリを連想するかも知れない。しかし僕のエントリにまともなLogicは存在しない(自慢できん)。あったとしてもごく単純な因果関係だけで、あとは言葉の流れと思いつきで進める。
どっちかというと普通のロジックではなく、あえて変な理由付けをしてみたり、極論をぶってみたり、その時の関心事に無理矢理結びつけてみることが多いかも知れない。
ブログは僕の思考実験場なのです。反響も含めて。
Meme: 心に残るフレーズ、その時の結論
ま た ミ ー ム か
...えぇと、これは、僕が他人の頭の中に残したい情報のこと。なるべく残りやすい、読んだ人か残したくなるような、「なんかよく分からんこと書いてたけど、あの一節だけは印象的だった」というか、「なるほど、この部分は自分にも当てはまるかも」といった、記憶に残ってくれるようなフレーズを最低一つは記事に入れるように心がけている。急に売れ始めるにはワケがある ネットワーク理論が明らかにする口コミの法則(ソフトバンク文庫) の言葉では「粘り」というのかな。
まぁ、ハズすことも多々あるのだが、このブログの場合はフォントを大きくしている部分がそうだと思って間違いないかなと。ネタ以外は。
で、そのエントリがイベントドリブンな場合は、なるべくその場で「結論」を出すようにしている。これは、同じ情報/経験を元にしていても日々考えることは違ってくるし、いつであろうと「今しか出せない結論」というものがあると考えるからだ。