拡張現実感の紹介エントリに学ぶ、専門研究の公開テク
もうなんか今更感が漂ってるのだが、見習いたいなぁと思ったエントリがあった。まぁ、これを書いてしまったら「こいつ例の記事マネしたな」とわかってしまうようなエントリは書けんわけだが…
500以上のブクマを集めてホッテントリに入ったので皆さんご存じだと思います。まず、タイトルがうまい。攻殻と電脳メガネを出されたら8割の日本人*1は「おっ」と目をとめる。ライフハック系の記事で「xxする10個の方法」を使うような感じ。
で、知識の前提を簡単に説明する。masayashi氏のスタイルなのかよく練ったのか、その紹介の仕方がうまい。
masayashi.com
ARという技術は『現実世界にディジタル情報を重畳させることにより、作業支援・ユーザインタフェース・エンタテイメント応用などにおける情報提示に役立てよう』というコンセプトに基づいて20年ほど前から研究が進められています。
ざっくりと言いますと『現実世界にディジタル情報を重ね合わせて色々できるようにしようぜー』ってことです。スカウターもARです。攻殻機動隊もARです。
一言で表したり、アニメで例えたり。専門分野を語るときはついつい詳細まで語りたくなるだろうに。僕が誰かの研究を語るときは、感想と紹介が入り交じってサカモギ構文多様でひどいものなのに。
次にいきなりムービーを見せてしまう。ぐだぐだ説明するより目で見た方がインパクトがある。その後に解説を加える。これもひとこと。
masayashi.com
この技術をざっくりと言いますと、『カメラの入力から特徴点を取得・追跡をすることで3D空間のマップ作りを行い、それに基づいて3Dディジタル情報を書き込み提示する』という技術です。特徴点追跡とマッピングのスレッドを分離することで、数千個の特徴点を実時間で扱うことが可能になっています。
後は感想や今後の展開なんかを書いて、詳しい解説はしない。それでもみんなの注目を集められるわけだ。これで僕もAR, MR, VRという単語を知ったわけだし、アニメで見たような技術は現実世界ではこのくらい進んでるんだなぁという認識を得られたし。
学ぶところは多い。
僕も、面白い研究を紹介したい。「あのブログではバイオの面白い研究内容が見られる」という認識をしてもらえばそれは一つの価値だし次世代的名刺にもなる。いまんとこ「超」整理法―情報検索と発想の新システム (中公新書)のポケット一つ原則に基づいて、日々の雑感、書籍関連、プログラム関連、そして研究発信関連などをまとめて挙げてるわけだが…将来的にはジャンル別にいくつかのブログ・wikiに分けるべきかもしれない。
技術的におもしろいよりも、概念的に「まじかよ!」と叫ぶような研究*2が紹介に向いてるのかな。生化学系にもたくさんある…Nature系*3とか。最近熱いのはなんと言ってもゲノム合成&人工生命(ゲノム的な意味で)だけど、他にもDNAで箱を作ったり、神経細胞を色分けしたり、あと石油作る大腸菌とか。視覚的に分かり易いものは、ミクロの世界なものでそう多くはないか。絵がうまければなぁ。
ゼネラリストを目指すならば同じ世界でとどまることはないのだから、脳みその中身を瞬間的に整理して発信する技術がいる。どうやら僕の発言はあちこち飛び火するらしく、「男なのに高速ネットワークじゃん」と言われた(参考:男の脳は無数の箱。女性の脳は高速ネットワーク? | Lifehacking.jp)。先は長いです。論理的な人になりたい。それ以前に人並みのKYRになりたい。
僕は基本的に「解放万歳」なスタンス*4なので自分の研究とかオーブンにしたいし研究室でやってることも声を大にして言いたいんだけど、オープンなサイエンスに詳しい人じゃないので権利問題とかが怖い。このへんも授業で教えるべきじゃないのか?と責任転嫁何様。
あらゆる研究者が自分の研究を公開する仕組みがあればなぁ。研究室に「イベント係」とか「ネットワーク係」とか作るのと同じように、「Web公開係」を作ったらどうだろう。
最近スターを付けてくれたid:keitabandoさんは、どうやらオープンサイエンスな方なのかな。ブログに興味深い記事が多いし文章もうまいので、きちっと勉強しながら読みたいと思っています。
思ったんだが
僕は「XXしたい」「よし、XXしよう」「XXならなぁ」という決意・希望に対する「XXを成し遂げた」的なエントリの比率が極めて低い