エッセイ的な。
手軽に読める「脳系」著者として、茂木健一郎氏は間違いなくトップレベルだと思う(僕的基準では池谷裕二氏が並ぶ)。今回のテーマは意識。2003年の出版で、この3年後にペンローズの“量子脳”理論―心と意識の科学的基礎をもとめて (ちくま学芸文庫)を出す事になるが、基本的姿勢は変わっていないようだ。
クオリアのかたまりが「意識」であり、科学の限界。ポストモダニズムを、科学の限界を超えた試みとして肯定的にとらえているのが印象的だった(個人的にはポストモダニストは何言ってるかわかんないので好きじゃない)。
- 「やさしい問題」
- 何かをわかっている「ふり」をする。また、わかったふりをしないとコミュニケーションが成り立たない問題。
- 「難しい問題」
- 上記のやさしい問題を「本当はどうなっているのか」と考えること。機能主義の前提に疑問を投げかける。
両者を行き来する能力は人間固有のものであり、チューリングテストに合格しないコンピューターには不可能。なるほど。その境界部分がアルゴリズムではかけない、意識の本質的な部分なのか。
読み物として面白いけど、普通、という印象。茂木さんの本は読めば読むほどテーマが一貫してる。逆に言えば彼の最大のテーマなんだろう。