いまさら聞けないサブプライム問題と証券化についてまとめてみた
絶賛就職活動中です。先日まで某機械メーカー、続いて某外資証券のインターンに参加中。指導してくれる社員さんがルーマニア人、英語が喋れなくて意思疎通ができず、凹むなどしている。
証券会社でのインターンが始まったこともあって金融がマイブームとなってるのだが、勉強してみると面白い。そこで勉強内容をブログに公開していこうと考えた。
その先駆けとして、去年世間を騒がして未だ新聞に載らない日はない「サブプライム問題」について全体の流れを追うことを目的に、自分の言葉でまとめてみた。いまさらという感じだが。
サブプライムとは何か
サブプライムローン(subprime lending)。よく聞かれる説明は「アメリカの低所得者向け住宅ローン」。
普通に考えると、低所得者=きちんと借金を返す能力が低い人。そんな人にお金を貸したって、貸し倒れリスクが高すぎるため誰も貸そうと思わないはず。
リスクが高いほど金利が高い、というのは金融の基本で、リスクがほぼゼロ(とされている)銀行の定期預金や国債は金利が低くなっている。すると低所得者に貸した住宅ローンはめっちゃ高い金利となるはず!貸してちゃんと返済されればボロ儲けだよ!でも貸し倒れリスクも高いよ!怖いよ!
証券化
ここで証券化(Securitization)という金融技術を使う。Wikipediaによる定義は次のとおり。
狭義には、不動産や債権などの資産を本来の帰属主体(オリジネーター)から分離して他の主体(SPV)に帰属させ、当該資産によるリスク及びリターンを有価証券(いわゆるABS。社債、特定社債、株式、優先出資など)の形で投資家に取得させる取引をいう。
証券化 - Wikipedia
証券化の具体的な使い方。
まず、2000万円のローンが1000件*1あったとする。住宅ローンを貸すのは銀行だが、その銀行から1000件まとめて買い取る人がいる。それが投資銀行(インベストメントバンク、IB)。
投資銀行はリスクの高い商品をごっそり買ってどうするのか?
IBは、1000件のうちリスクの低い順に数100件ずつパッケージ化して格付けを依頼*2。、AAA, AA, A, BBB...とリスクの低い順にラベルを貼り、転売する。格付けが与えられたことに安心して、投資家はAAAクラスの証券を購入する。
そしてここが少し特殊なところだが、元の1000件内で返済が行われると、AAAの証券を持つ人から順に決済される。予定通りリスクの低いローンが返済された時も、これ絶対返ってこないだろというような借金が予想外に返って来たとしても、まずはAAAクラスの証券から順にお金を受け取ることになる。
一方、せっせとパッケージを作ったIBは、1000件を1億円で買っていたとして、このうちリスクの低いパッケージを「AAA, AAクラスの良質証券ですよー」とうまく商売し、800件を1億円で売ることに成功したとする。残り200件はほとんどは無価値だが、このうち少しでも利益を生むものがあれば、IBの丸儲けとなる。数年前にゴールドマン・サックスが億単位のボーナスを出したことで話題になったが、高給の源泉はこの証券化技術だったらしい。
すなわち、
という、みんな幸せになるよ的な、グリーンスパン元FRB議長をして「低所得者に福音を与える金融イノベーション」と言わしめたすばらしい現代の金融技術だったわけです。
何が問題だった?
このように見てくるといいこと尽くしのように思うが、実際問題として金融機関は何兆円と損失を出し、世界経済の下降の原因となった。じゃあ、何がまずかったのか?
二次、三次証券化
インベストメントバンカーはこう考えた。
「Aクラスの上澄みはまだAAAクラスに格付けできるんじゃね?」
そして実際にAとかBBBとかいったパッケージを買い集め、もう一度パッケージ化し、格付けをして再びAAAクラスを創り出した。そのAAA証券は高値で取引されることになる。錬金術みたいだ。
二次、三次と分解分解を繰り返すのみならず、AAAをつけてもらうために他の金融商品とまぜこぜにしてパッケージ化していたと言うから、なにがなんだかわからない(AA略
格付けを無条件に信頼
もうここまで来ると、買うほうも中身がどんなパッケージになっているのかわからない。ただ「AAAクラスである」という情報だけを頼りに購入し、値段がつけられていった。
とくに、住宅価格が上昇してローン返済が難しくなっているにもかかわらず過去の統計から格付けを行ってきたため、実際の価値との乖離が進んだ。
これは地雷だよなぁ。
そして2007年8月、格付け機関がサブプライムローン関係の商品の格付けを一気に引き下げた。これにより資産としての評価も大幅に下がり、また、一気に値段が下がったものだから証券化商品を保有する人は買い手が見つからず途方にくれた。
結果、野村が700億円、みずほが数百億円の損失。米国はもっとひどくて、シティグループが7000億円、メリルリンチが9000億円の損失を計上。
21世紀型の金融恐慌とか言われているが、長期的に見ればバブルの一種過ぎないとか。今回の問題は異常なほど格付け依存の投資が行われたこと。本来は金融工学を駆使して正確なプライシングを行うべきだった。
その後の影響は新聞を開けばどこかのページに載ってる。さいごgdgd。