現代版古典
19世紀にダーウィンの書いた「種の起源」をリーキーが編集、多くの図を加え、現代生物学の視点から見た解説も加えた本。何より驚いたのは、100年以上前の思想なのに全く古さが感じられない点。吉岡氏の訳がうまいこともあり、ものすごく読み易い。
まず身近な例として飼育された生き物の変化から入り、自然状態でも変異は起こる事、そして「ある生物に生じた変化が、生物の置かれた環境下で有利となるならその変化は残る」という最小限の“自然淘汰”というプロセスを仮定すればそのすべての変異は説明ができる事を平易に語ってくれる。
自然淘汰説への反論(中間体が存在しない、化石の不足、変種の生殖力低下、特種な生物の例)を挙げ、さらに反駁もしている。さすが。
「古典だし…」と敬遠していたのが馬鹿だった。19世紀にここまで到達していたのか。すべての哲学はプラトンの注釈だと言うが、すべての進化論はダーウィンの注釈に過ぎない、とも思える。