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ミームの死骸を待ちながら

We are built as gene machines and cultured as meme machines, but we have the power to turn against our creators. We, alone on earth, can rebel against the tyranny of the selfish replicators. - Richard Dawkins "Selfish Gene"

We are built as gene machines and cultured as meme machines, but we have the power to turn against our creators.
We, alone on earth, can rebel against the tyranny of the selfish replicators.
- Richard Dawkins "Selfish Gene"

話下手・アガリ症でも聞く人に楽しんでもらえるプレゼンを作るテクニックと心構え

presentation

原因は意伝子か遺伝子か、親父から譲り受けた圧倒的寡黙さは23年生きてなお健在である*1。リアルで僕に会った人からは総頷きが得られると思うのだが、僕はあまり口が達者な方ではない。


そんなわけで昔っからペラペラ喋る人間ではないのだけど、(本業の研究以外で)プレゼンする機会が不思議と多い。なんとか場をもたせないといけない。いや、できることなら「聞いて良かった」と思ってもらえるプレゼンにしたい。そんなことを考えて自分なりにいろいろと試行錯誤してきた。失敗もあったし、わりと好評だった時もあった。


というわけで、

  • プレゼンが苦手
  • というか人前で喋るのが苦手
  • 緊張してろくなプレゼンできた試しがない

という人のために、今まで僕がプレゼンを重ねて来た中から得た、考え方とか基本的なテクニックのようなものを、ゆるゆると示してみたい。


こんてんつ

  1. 高橋メソッドを使う
  2. 観客を巻き込む
    • 観客に喋ったり動いたりしてもらう
    • 反応する時間をあげる
  3. テンションの低さを逆に活かす
  4. 悪いプレゼンは悪いと言われない


「話が苦手な人の背中を押す」という方針で書きたいと思うので、デキる人にとってはありきたりのテクニック/心構えが多くなりそうですがご愛嬌。


高橋メソッドを使う


まずコレ。高橋メソッド はかなり有名だと思っていたけど、どうやらなじみのないコミュニティもあるということを最近知った。だいぶお世話になってるメソッドでもあるし、改めてメリットなどを。


でかいプレゼン 高橋メソッドの本
でかいプレゼン 高橋メソッドの本高橋 征義

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高橋メソッドは、「でかい」文字で各スライドにしゃべる内容を簡潔に書くプレゼン手法なのだけど、実はこの手法、話が下手な人に向いている

理由はもちろん「話すことが書いてある」から。

人前で話すことが苦手だと、あらかじめ喋ることを考えて用意していても、アガって真っ白になるなんてザラ。そんなとき話すことがスライドに書いてると、とても助かる。真っ白になったらとりあえずページ送りして読み上げて行くだけの簡単なお仕事


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もんたメソッド」など関連手法も開発されたり、アウトライナーとしての役割を持たせたりといろいろ発展している。練習も必要ないので、一度使ってみて損はない手法だと思う。その後は自分に合う形に取り込み、調整して行けば良い。


高橋メソッドが使えないフォーマルなプレゼンはどうする?


その人の性格とか雰囲気(仕事や堅い授業、お偉いさん相手の発表など)によってきまる「フォーマルライン」があって、そのラインを超えた時、高橋メソッドは使えなくなる。使わない方がよくなる。

僕は就活時代の選考過程でプレゼンをするときにも高橋メソッドで通したような人間なので、このラインが高めな感じがするけど、ともかく、どうしても真面目にスライドを構成しなければいけない時はどうするか。みっつほど思いつくままに挙げる。


ひとつめ。僕が思うに、スライド作成の時に、高橋メソッド、もしくはアウトライナー*2全体を先に作ってしまうことが効く。先に全体を把握してしまえば、頭の中で全体像をイメージして発表を進めることができるので楽。

ふたつめ。軸を一つ決めること。イイタイコトをひとつ決めてしまえばその後の構成をただ一つの目的に向けて切り捨て/構築できるのでなんとかなる。

でも最終的には練習がモノを言う、と思う。身も蓋もないけど*3。卒検発表の時に書いた記事がちょっと関連するので載せておく。


卒研発表を経験して気づいた、研究姿勢・プレゼン・質疑応答のコツまとめ - ミームの死骸を待ちながら


観客を巻き込む

一人で喋ってると寂しい。シーンとした会議室や会場で一人喋ってると、寂しくて死にそうになる。周りがみんな敵に見えてくる。想像しただけで気が遠くなる。
一人で見えない敵と戦うよりも、観客には味方になってもらいましょう。


観客に喋ったり動いたりしてもらう

まず簡単にできる解決策として、観客に参加してもらうこと。
たとえばある議題を出して、それに対する意見を何人かに求める。このとき、ブレストの原則と同じで、最初に自分で意見(それも簡単によりよい意見が出そうなありきたりでくだらないもの)を出しておくとハードルが下がってよい感じだと思う。
または、該当する人に挙手してもらうような、アンケート式の内容を盛り込む。僕はこれをよく使う。


こうして観客に参加してもらうことで、ただ座って話を聞いているだけのときに比べて、こちらの話に集中してくれるし、好意的で活性化した空気を作り出すことが出来る。


反応する時間をあげる

観客を巻き込むためにとても大事なのは、観客が反応する時間を与えてあげること。
緊張すると話す速度が速くなり、ポンポンとスライドを進めてしまいがち。これは観客もどう反応していいのかよくわからなくて(反応しようと思ったらもう次に進んでいて)、ずるずると自分一人の戦いに落ち込んでしまう。これはよくない。

そうではなく、基本的にプレゼンはゆっくりと進める方がいいと思う。ひとつひとつの言いたいことを飲み込んでもらう時間を作ることで、観客と理解を共有しながら進めることが出来、観客と一体感を持ってプレゼンテーションを行うことが出来る。


このタイミングをうまく操るひとを見てみると、

  • ページを送る前に「タメ」を作ることで次のスライドに注目させたり
  • 逆に意図的に素早くスライドを進め、矢継ぎ早に情報を送り込むことで自分の世界に引き込む*4

などの高等テクニックを駆使していることに気がつく。真似したいものです。


テンションの低さを逆に活かす


Steve Jobsのような演出とエンターテイメント精神でもって観客を魅了したり、または、滔々と雄弁をふるって感動させたり。そうした方向のプレゼンを目指すなら、プレゼンテーションを成功させるための9つのステップ こうしたテクニックが使えるだろう。


しかしとてもそんな芸当は無理だ、という人には、「逆の方向を心がけると何か変わるかもしれないよ」と提案したい。話下手には話下手なりの生き方がある、ということ。


感情を込めて話せないのなら、淡々と喋ればいい。その代わり、テンションの低さ、淡々としたトークを活かせるようなスライドにするのだ。具体的には「構成を明確にする」ことがそれに当たると考えている。

話術でプレゼン内容をどこへでも持って行ける人はいいのだけど、それが無理な人は「話す内容=スライド*5」にしておくことが無難だし、ずっと効果が高い。
無理して抑揚を付けるよりも、自分自身はコンテンツの一つになりきり、スライドとの相乗効果で相手に伝えるように心がける。自分はただ喋るだけなので緊張もしにくい。
僕はインターネットに本体があってリアルの姿は義骸なので、テキストが喋ってくれるようにスライドを構成すると非常に楽だ。


上述の高橋メソッドと組み合わせることで、それなりに笑いが取れたりする。スライドが代わりに喋ってくれるので、自分で無理におもしろいことを言わなくてもいいのが助かる。こないだは唐突に

http://img.skitch.com/20090721-knycg7mapus3b21cyai2rymnmh.jpg

こんな画像を入れていた(どんなプレゼンだ


悪いプレゼンは悪いと言われない


あなたがひどいプレゼンをしても、大抵の場合は悪い部分を指摘されない。これは良いことでもあり、悪いことでもある。

良い方から説明すると、「失敗しても責められないよ」ということ。緊張して失敗しても殺されやしないし、観客は敵じゃないので、プレゼンターに失敗して欲しくなんてない。そう認識しておけば、プレゼンをすることに対する心理的バリアーが少なくなる。だからどんどんプレゼンの機会に飛び込んだ方が良い。

それなりに場数を踏むことで、僕も最近は緊張しなくなってきた(でもやっぱり、準備が十分であればあるほど緊張しなくなる、という基本法則は変わらない)。



反面「悪いと言われない」ことには悪影響もある。プレゼンのここがダメだった、というフィードバックが得られないので、どんどん暴走してしまう可能性があるのだ。ここは空気を読めという感じだけど僕はAir難読症の気配があるので、悩ましい所。

ちなみにここではストイックな状況を想定していない。仕事でプレゼンを行うのなら、悪いプレゼンだときっぱり悪い反応を受ける(成果を出せない)ことになるので自然とフィードバックが得られるのかもしれない。
だから、公的なプレゼン(研究発表とか)に向けて内部で練習する時はフィードバックを受ける貴重な機会。ガンガン悪い所を指摘し合った方がいいし、指摘できる人間関係を築いておくことがそれ以前に重要なんだな、と思ったりする最近でもある。


PostScript


ちなみにこの記事を書く切っ掛けになったのは、最近イベントで行ったプレゼンと、それに対する反応。

前者は自己紹介をかねた数分のネタプレゼンでしたが、後者は30分程度の壮大なネタプレゼンでした(あれ?)。

「私はこんな就職活動だった」というお題をいただきつつも、堂々とタイトルを打ち消し線で否定して(すいません)好き勝手喋ってしまった。何しろ「新人研修からトップスピードで走って行く」どころか、入社前から敷かれたレールの斜め上を失踪疾走する僕です。プレゼンの内容も推して知るべし。


そういえば、オーディエンスの半数が僕のブログを知っていたのには驚いた。この謎の知名度いったいなんなの。

おまけ

プレゼン関連で好きな本

ロジカル・プレゼンテーション—自分の考えを効果的に伝える戦略コンサルタントの「提案の技術」
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*1:意伝子」はミームmemeの日本語表記の一つ。他に「模伝子」「文化遺伝子」などがある(うろおぼえ)

*2:ただのテキストエディタでもいいけど

*3:逆に言えば練習が必要ないことが高橋メソッドの利点でもある

*4:この場合は直感で把握できるスライドにするなど、工夫が必要なように思われる

*5:あるいは「話す内容⊂スライド」