ナノスケールの映像をリアルタイムに見る新AFMが、なにやらすごそうである
上の画像は、CGではない。最新鋭の顕微鏡で撮影(?)した20ナノメートルの大腸菌だ。こんなにリアルに見せられると…ちょっと、いやかなりキモい。今日も大腸菌を2リットル分増やしている*1ので、なんかぞわぞわする。
Gallery: Scientists Scan Striking Nanoscale Images
↑このページには、ナノ世界の画像がいくつか掲げられている。横に説明文があるので合わせてどうぞ。
一つ一つの原子がはっきりと見える
量子ドットって見えるんやwww
シアノバクテリアさんですよ
ヒトの赤血球だってさ。
うちの研究室はバリバリ生化学というよりもやや化学・測定機器に偏っているため、この新顕微鏡は見過ごせない。調べれば調べるほど、こいつ決定打ちゃうかという気がしてきたので紹介する。
とりあえずは、これが新顕微鏡の基礎となる既存技術ですよ
この新技術の基礎はAFM (atomic force microscopy:原子間力顕微鏡)。以下、AFMの基礎的な説明を少し。
上の「撮影」にハテナを付けたのには意味がある。AFMは、光を使ってモノを見るのではない。対象が小さくなればなるほど、光による観測は「見る」唯一の方法ではなくなってくるからだ。
AFMはその名の通り原子間に働く力を測定する。「群盲象を撫でる」ように、「カンチレバー」と呼ばれる針でモノの表面を撫で回して形を判定するといういかがわしい顕微鏡だ。
「ええケツの形しとるやないか」
「やめてください」
そしてこの新AFMは
FIRAT (Force sensing Integrated Readout and Active Tip) と呼ばれ、現行のAFMの100倍のスピードでセンシングでき、しかもAFMでは見えない分子間相互作用まで観測できるらしい。
その新しい仕組みは次のようになる。物質表面を「撫でる」のではなくホッピングのようにびよんびよんと叩き、振動をマイクのように検出する。ソナーみたいなもんか。
Material propertyすなわち物質の特性なんかもわかる。物質表面のトポグラフィーや剛性、弾性、粘着性がいっぺんにわかってしまうのだから、材料系の人とかすごい重宝するんちゃうかな。
物質特性だけにとどまらず、説明記事でも書かれているように、このFIRATは応用範囲が果てしなく広い。AFMでは不可能な動画の記録までできるって…生体分子の反応をリアルタイムでこの解像度で見せられたらSPR涙目ww
人間は視覚に頼る生き物だ。
外部器官からのインプット情報のうち、視覚情報処理は約8割を占める、という。人間は進化の過程で高性能な眼球と、そこから送られる1000万ビット*3もの情報を処理できるほど巨大な脳髄を得た。(1000万ビットというのは、ユーザーイリュージョン―意識という幻想からのうろ覚え情報)
「見える化」やデザインがもてはやされるのはその「視覚傾倒生物」の現れだ。と僕は思ってる。ウェブページがかぐわしい香りを発してもあまり嬉しくない。
まとめな。
しかしこいつ高性能だな。うちもAFM使ってる同期がいるけど、こんな画像は見えてない。ほぼ単色でノイズか何かわからないでこぼこが見えるくらい。なんでだ?機種の違いか?
…とか思ってたら、どうやらこの新機能はオプションパーツとして簡単に設置できるらしい。
GT | Georgia Institute of Technology - Error 404: Page Not Found
It can be added with little effort to existing AFM systems for certain applications.
教授、うちのAFMに付けましょうよ